勤務医でありながら、マンションを購入したい。
子供がある程度大きくなったから、一戸建てか広めのマンションを買うか迷う。
結婚して子供がいる勤務医であれば、自宅を購入する事が視野入ってくると思います。
しかしながら、一体どれくらいの金額のマンション、自宅を購入すれば良いか、わからないのではないでしょうか。
どれくらいの金額のマンションを買うと、家計はどうなるのか?
価格別で見てみましょう。
勤務医のマンション、自宅の購入シミュレーション、金額の算出方法
これからのシミュレーションは、以下の条件で行います。
- 金利は1%
- 返済期間は35年
- 頭金無し
- 元利均等返済
また、月々の支払い(家賃相当額)は以下の合算とします。
- マンション購入価格(金利含む)
- 修繕積立金、管理費
- 固定資産税(月割り)
- 駐車場代
修繕積立金、管理費は簡単のために一般的な値である5万円/月とします。
ただし、マンションの価格が上がればこれらの費用は上がるため、少し傾斜をつけます。
駐車場代は、簡単のために1.5万円/月とします。
固定資産税については、公示価格の70%がマンションの固定資産税評価額として一般的です。
固定資産税評価額に対して、その1.7%(固定資産税の税率は1.4%、都市計画税が0.3%)が毎年支払われる固定資産税です。
これらの条件により、価格別で毎月の支払額(家賃相当額)を算出します。
本来ならば物件価値の目減りとともに固定資産税が下がり、建物の老朽化とともに修繕積立金は増額されます。
ここでは簡単のためにこれらは相殺されると過程します。つまり時系列での固定資産税減額、修繕積立金増額は無視します。
さらに
- 住宅ローン減税
による、実質上のプラスキャッシュフローが生まれます。
これは年収、購入した物件の金額、返済計画にも依存しますので一概に言えませんが、多くの医師は最大値である「年40万を10年」もらえると仮定します。
これは35年で月平均に直すと、0.95万円/月という計算になります。
お金は時系列という概念が加わると金利が関わってくるので、正確な値ではありませんが、ここではこの仮定のまま話を進めます。
勤務医のマンション、自宅購入にあたって確認すべき事項
上記で算出した額が
- 自分の毎月の収入に比してどれくらい占めているのか?
で「購入可能なマンション価格」を決定しましょう。
一般的に、家賃は月収の30%以下にしろと言われています。
しかしながら、個人的にはそれは結構高いと思っていて、資産形成を今後していくつもりがあるなら20%以下に抑えた方が良いでしょう。
今回は、毎月の手残り収入に対して「家賃相当額が占める割合」別で以下のような判定とします。
20%以下…グリーン
20〜30%…イエロー
ー購入可能の壁ー
30〜40%…レッド
40%以上…ブラック
トリアージみたいになってしまいました(笑)
30%以下になるグリーン、イエローは購入可能という事にします。
これは結構保守的なラインですが、資産形成をするならば現実的な数字です。
さて、忘れてはならない確認事項が自分の年収です。
特に「税引後の手残り収入」が重要です。
収入、結婚の有無、子供の人数などによって手残り収入は異なるでしょう。去年の確定申告書を手元に用意して下さい。
ダブルインカムの場合、計算が若干異なりますが、簡単のために2人の合算した年収で計算しましょう。
簡易的な「年収:手残り収入の対応表」は下記の通りです。
年収1000万→手残り728万
=60.6万/月年収1200万→手残り856万
=71.3万/月年収1500万→手残り1023万
=85.2万/月年収1800万→手残り1187万
=98.9万/月年収2000万→手残り1299万
=108.2万/月年収2500万→手残り1560万
=130万/月年収3000万→手残り1805万
=150万/月
それでは始めましょう。
勤務医が4000万の自宅マンションを買ったら
ローン計算によると毎月の返済額は11.2万円です。
固定資産税は、評価額が公示価格の7割だとするならば2800万、その1.7%(固定資産税の税率は1.4%、都市計画税が0.3%)なので
2800万×1.7/100=47.6万/年
です。月平均にすると3.96万円です。
駐車場代、修繕積立金および管理費(この場合は3万/月とします)をプラスすると、毎月の家賃相当額は
11.2+3.96+3+1.5ー0.95
=18.71万円
です。
年収1000万の家計は、毎月の手残り収入の31%になります。レッドです。
年収1200万の家計は、毎月の手残り収入の26%になります。イエローです。
年収1500万の家計は、毎月の手残り収入の22%になります。イエローです。
年収1800万の家計は、毎月の手残り収入の19%になります。グリーンです。
これ以上の年収は全てグリーンです。
はい。
という事で、普通の勤務医を普通にやっている年収1200万以上の世帯であれば、4000万円までなら購入可能だと思います。
また、年収600万×2人でも達成可能でしょう。
勤務医が5000万の自宅マンションを買ったら
ローン計算によれば、毎月の返済額は14.1万円です。
固定資産税は、年間59.5万円、4.95万円/月です。
駐車場代、修繕積立金および管理費(この場合は4万円/月とします)をプラスすると、毎月の家賃相当額は
14.1+4+4.95+1.5ー0.95
=23.60万円
です。
年収1000万の家計は、毎月の手残り収入の39%になります。レッドです。
年収1200万の家計は、毎月の手残り収入の33%になります。レッドです。
年収1500万の家計は、毎月の手残り収入の28%になります。イエローです。
年収1800万の家計は、毎月の手残り収入の24%になります。イエローです。
年収2000万の家計は、毎月の手残り収入の22%になります。イエローです。
年収2500万の家計は、毎月の手残り収入の18%になります。グリーンです。
年収3000万の家計は、毎月の手残り収入の16%になります。グリーンです。
5000万円に到達すると、年収1200万の勤務医×専業主婦では購入不可能になりました。
とはいえ年収1500万ならクリアですから、このラインを突破するのはそれほど難しく無いでしょう。
勤務医が6000万の自宅マンションを買ったら
ローン計算によると毎月の返済額は16.9万円です。
固定資産税は、年間71.4万円、5.95万円/月です。
駐車場代、修繕積立金および管理費(ここから先は5万円/月とします)をプラスすると、毎月の家賃相当額は
16.9+5+5.95+1.5ー0.95
=28.40万円
です。
年収1200万の家計は、毎月の手残り収入の40%になります。ブラックです。
年収1500万の家計は、毎月の手残り収入の33%になります。レッドです。
年収1800万の家計は、毎月の手残り収入の29%になります。イエローです。
年収2000万の家計は、毎月の手残り収入の26%になります。イエローです。
年収2500万の家計は、毎月の手残り収入の22%になります。イエローです。
年収3000万の家計は、毎月の手残り収入の19%になります。グリーンです。
いかがでしょう。世帯年収1800万以上じゃないと難しいという結果です。
1馬力ならそこそこバイトを頑張らないと、勤務医では難しいラインです。
ここが勤務医1馬力の限界でしょう。
勤務医+看護師とか、パートナーの年収が300〜400万あるのなら、このラインを突破するのは容易でしょう。
勤務医が7000万の自宅マンションを買ったら
ローン計算によると毎月の返済額は19.7万円です。
固定資産税は、年間83.3万円、6.94万円/月です。
駐車場代、修繕積立金および管理費をプラスすると、毎月の家賃相当額は
19.7+5+6.94+1.5ー0.95
=32.19万円
です。
年収1500万の家計は、毎月の手残り収入の38%になります。レッドです。
年収1800万の家計は、毎月の手残り収入の33%になります。レッドです。
年収2000万の家計は、毎月の手残り収入の30%になります。イエローです。
年収2500万の家計は、毎月の手残り収入の25%になります。イエローです。
年収3000万)の家計は、毎月の手残り収入の21%になります。イエローです。
徐々に厳しくなってまいりました。
世帯年収2000万以上。勤務医を普通に続ける限り、パートナーの協力が必要な領域に入ってきました。
パートナーの年収も500万程度あると安心です。
逆に医師×医師という、医師同士のカップリングならばまず到達しているでしょう。
勤務医が8000万の自宅マンションを買ったら
ローン計算によると毎月の返済額は22.5万円です。
固定資産税は、年間95.1万円、7.93万円/月です。
駐車場代、修繕積立金および管理費をプラスすると、毎月の家賃相当額は
22.5+5+7.93+1.5ー0.95
=35.98万円
です。
年収1500万の家計は、毎月の手残り収入の42%になります。ブラックです。
年収1800万の家計は、毎月の手残り収入の36%になります。レッドです。
年収2000万の家計は、毎月の手残り収入の33%になります。レッドです。
年収2500万の家計は、毎月の手残り収入の28%になります。イエローです。
年収3000万の家計は、毎月の手残り収入の24%になります。イエローです。
普通の勤務医では難しいレベルに来ました。
この金額のマンションを購入するのなら、パートナーの年収も1000万を超える必要がありそうです。
勤務医同士の夫婦で、1500万+1000万なら、まだいけますね。
勤務医が9000万の自宅マンションを買ったら
ローン計算によると毎月の返済額は25.4万円です。
固定資産税は、年間107.1万円、8.93万円/月です。
駐車場代、修繕積立金および管理費をプラスすると、毎月の家賃相当額は
25.4+5+8.93+1.5ー0.95
=39.88万円
です。
年収1800万の家計は、毎月の手残り収入の40%になります。ブラックです。
年収2000万の家計は、毎月の手残り収入の37%になります。レッドです。
年収2500万の家計は、毎月の手残り収入の31%になります。レッドです。
年収3000万の家計は、毎月の手残り収入の27%になります。イエローです。
勤務医の限界です。
この領域に勤務医が到達するのは、難しいかもしれません。
田舎で相当給料の高い地域で、医師同士の夫婦ならば、達成できるかもしれません。
そんな田舎に、こんなマンションがあるのかという話にはなりますが…。
やはりここから先は、開業医クラスじゃないと医者には無理そうですね。
家計タイプ別、勤務医が購入して良い自宅マンションの額は
以上の結果を簡単にまとめてみます。
- 勤務医1馬力なら、5000万円までは大丈夫
- 6000万円で勤務医1馬力なら、そこそこバイトを頑張る必要あり
- パートナーが一般企業や公務員なら、6000万円は問題無し
- 看護師やある程度給料がある場合は、7000万も可能
- 医師同士の場合、8000万円までは問題無し
- 9000万円以上は、普通の勤務医には難しい
いかがでしょうか。
今回はあくまで「家賃相当額が手残り収入の30%以下」という条件で算出しました。
個人的には結構現実的な数字だと思いますが、人によっては保守的な数字だと思う人もいるでしょう。
ただ、このラインを守れば家計はまず圧迫されない、というラインがこれです。
ちなみに僕は2018年、年収1600万でしたが、住んでいる家の家賃は10万円です。
病院が半額支払ってくれるので、実質5万円。
今の僕にはこれで十分です!
また税金対策、節約をなるべく行った上で家計のキャッシュフローを改善する事も重要です。
本当に豊かな生活を送りたいのならば、見栄にお金を使うのではなく、キチンとした計算に基づく合理的な判断をしましょう。