医師にとって、バイトしている事実を勤務先にバレたくないという時って、ありますよね。
理由はそれぞれでしょうけど、概ね
- 医局が「医局斡旋以外のバイト」を禁止している
- 公的病院に勤務しており公務員扱いで、法律上禁止されている
のどちらかではないでしょうか。
特に公務員の副業禁止は公務員法によって定められており、違法行為です。
医師のバイトを何らかの理由で勤務先にバレたくない時、バレないための方法はあるのでしょうか。
医師のバイトが勤務先にバレる理由
そもそもなぜ、医師のバイトが勤務先にバレるのでしょうか。
原因は1つ、税金です。
一般的に常勤先の病院がある場合、そこで年末調整を受けるはず。
常勤先の経理からすると
経理「この病院はバイト禁止だから、医師Aの税金はこの額で間違いないな」
と、年末調整をして弾き出した数字を見て思うはずですね。
しかし実際には医師がバイトをしていて、確定申告をしたとします。
税務署からすれば、医師Aの収入が「年末調整した常勤先の源泉徴収票に記載されている額」よりも多いわけです。
税金を追加で徴収しなければなりませんね。
追加で支払う住民税が発生した場合、税務署は医師Aの勤務先に
税務署「まだ徴収されていない住民税がこれだけあったから、給料から天引きしといてね」
と伝わるわけです。
これを住民税の「特別徴収」と呼びます。
常勤先の経理からしたら、非常に不思議な話です。
なぜなら「常勤先以外の収入源を持っていないはず」だと思っていますから、支払うべき税金は常勤先の経理が計算した、年末調整した額で間違いないはずですので。
常勤先の経理からすれば、これで気がつきます。
経理「医師Aは当院の給料以外の何かしらの給与所得がある…常勤先以外の病院でバイトをしている?」
と。
まあ、あとはバイト先に源泉徴収票を経理のドアの目の前とかで落とさない限りは、バレる可能性は無いでしょう。
巷では「マイナンバー制度が始まって個人の収入源が紐づけられる」と言われてはいますが、仮に国が個人レベルの収入を複数見つけたとして、勤務先にそれを伝えるという事は無さそうです。
なお所得税については、個人が支払うことになっています。
追加納税があった場合、自ら能動的に納税しないと脱税になるので注意!
詳しくは下記記事へ。
医師のバイトが、勤務先にバレないようにするために
では上記の流れの中で、勤務先にバイトがバレないようにするためにはどうしたら良いでしょうか。
いくつか考えられます。
1、常勤先で年末調整をさせない
常勤先で年末調整をさせなければ、自分が本来支払うべき税金額が勤務先に知られないかもしれません。
しかし、実際には無理がありますね。
バイトをしていない医師の場合、どう考えても自分で確定申告するより年末調整だけで税金の支払いを済ませてしまった方が得ですから。
これではむしろ「私は常勤先以外の病院でバイトをしています」と言っているようなものです。
2、バイト代を確定申告しない
そもそも税務署にバイト代を認知されなければ良いのでは無いか、という発想。
確かにそうですけど、これは脱税です。
医師のバイト代はきっちり確定申告しなければなりません。
3、住民税の特別徴収を普通徴収にする
冗談はこれくらいまでにしましょう。
本命の方法、住民税の普通徴収です。
住民税は基本的に、確定申告後に追加分があった場合は
- 勤務先に通知→勤務先で給料から天引き
という形だと、先ほど述べました。
これを住民税の「特別徴収」と言います。
一方で、住民税を「普通徴収」にすると、住民税の支払い書類は「自宅」に送られてきて「個人」で納税すればオッケーです。
勤務先に知られるという事はありません。

と思ってしまうのも、わかります。
しかしながら現実はそう甘くありません…。
自治体によって異なるのですが、住民税は原則特別徴収です。
多くの自治体では、住民税の普通徴収は「特定の条件下のみ」でしか認められません。
例えば大阪府では
事業主(給与支払者)は、法人・個人を問わず、特別徴収義務者として全ての従業員について、個人住民税を特別徴収していただく義務があります(地方税法第321条の4)。ただし、次の従業員の方は特別徴収の対象外とすることがができます。
【特別徴収の対象外とすることができる従業員】
a 退職者または退職予定者(5月末日まで)
b 給与が少なく、個人住民税を特別徴収しきれない者
c 給与の支払期間が不定期(例:給与の支払が毎月ではない)
d 他から支給される給与から個人住民税が特別徴収されている者(乙欄適用者)個人住民税の特別徴収についてより引用
としています。
つまり誰でも普通徴収を選択できるわけではない、というわけです。
仮に普通徴収にしたとしても、それを突っぱねられてしまうかもしれません。
特別徴収にされ、勤務先に通知されてしまうかもしれないと。
医師のバイトは「絶対に勤務先にバレない」という保証は無い
結論から言えば、勤務先に絶対にバレないという状況は作れません。
普通徴収にする事で「確率を減らす」事はできます。
しかし普通徴収になる正当な理由がない限り、絶対という保証はありません。
具体的にどれくらいの確率で、普通徴収が突っぱねられるのかは僕にはわかりませんが、100%じゃないという時点で無意味ですよね。
一方医局にバレるバレない、という事に関しては、勤務先の病院が裏で伝えない限りバレないとは思います。
もし勤務先の病院がめざとく医局に報告するようであれば、医局にも話は伝わってしまうでしょう。
国立病院、公立病院勤務の医師は公務員なのか?
そもそも公的病院に勤務している医師は、全員公務員なのでしょうか。
最近は公的病院でも、独立行政法人という形をとっているため
公的病院勤務=公務員
という図式は必ずしも成り立ちません。
具体的には
- 独立行政法人
- 特定独立行政法人
- 地方一般独立行政法人
- 地方特定独立行政法人
のどれかによって異なるそうです。
1、独立行政法人に勤務する医師
法律上は副業可(役員以外)。
しかし、個人ー法人間で結ばれている就業規則次第。
つまり
- 役員ではない
- 就業規則で禁止されていない
の2つの条件をクリアすれば、医師はバイトをしてもオッケーです。
2、特定独立行政法人に勤務する医師
国家公務員扱いのため、職員は副業禁止。
3、地方一般独立行政法人に勤務する医師
1と同様です。
4、地方特定独立行政法人に勤務する医師
地方公務員扱いのため、職員は副業禁止。
参考文献:独立行政法人の職員・役員の副業が法律上、合法か違法かを解説します
まとめ
医師のバイトが勤務先にバレない絶対の方法は、存在しない。
住民税の普通徴収で「確率を減らす」事はできる。