20代のいち勤務医であった僕は、物件を購入し不動産投資を始めました。
事前にかなり勉強して挑んだため、最初に買った物件にしては大きな失敗はせず、今の所は成功を収めています。
しかしながら実際に物件を持ってみて、また実戦で勉強してみて感じた事があります。
それは
- 同じ医師でも、目的によって買う物件は変えるべき
という事です。
購入する物件によって、叶えられる事柄が異なります。
何を叶えたいのか、つまりその目的によって、購入する物件は変えるべきだと、実際に初めてみてヒシヒシと伝わって来ます。
目的別、物件は大きく2通り
この世の物件は、大きく分けて2つに分かれます。
- 資産性が高い(収益性は低い)
- 収益性が高い(資産性は低い)
のどちらかです。
資産性も高く、収益性も高い物件というものはほぼ存在しません。
自分の目的に合わせて、これらの物件をうまく分けて手札に加える必要があります。
資産性が高い物件とは
資産性が高く人気の物件とは、都心の一等地のような物件の事です。
日本で最も利回りの低い、資産性の高い土地は東京の銀座付近だと言われていますが、おおむね利回りで言うと5〜6%程度です(記事執筆時現在)。
基本的に利便性の高い立地は競争率が高く、今後も発展して値上がりする可能性が高い(値下がりする可能性はあるが下値は限定的)であるため価格が高騰します。
収益性を捨ててまで、その立地の「高い資産性」を手に入れたい人が、たくさんいるという事ですね。
資産性の高い物件を買う目的
資産性の高い物件を買う目的は
- 資産の保全
です。
つまり、既に資産のある人向けの物件です。
年齢で言うと、ある程度人生経験を積まれた方向けの物件です。
資産性の高い、好立地の物件は、市場のダイナミズムに影響されつつも、長い目で見れば基本的には値上がりを続けます。
人口減少社会だろうが、資本主義社会ではどんどん都心部、中心部に人が集まるからです。
そこから得られる収益性は低くても、価値は保たれる「年利5%の定期預金」のようなイメージでしょうか。
これから不動産投資を始めたい多くの人の「目的」には、合致しないのではないかな、と思います。


収益性が高い物件とは
収益性が高く不人気の物件は、地方の田舎の物件です。
ネットに落ちている物件でも、20%近い利回りで出回っている地方の物件は多数存在します。
これくらい収益性が高い事を見せつけないと、誰も買ってくれないような、魅力の無いド田舎という事ですね。
とはいえ、全くもって資産価値がゼロの物件ですと、銀行が融資をしてくれません。
いくら利回りが良くても、銀行の融資が通る程度には資産性のある物件じゃないと、庶民が購入するには少々ハードルが高いと言えます。

またこの手の物件は
- どの立地が有利か
- どの立地が不利か
という事を、わからないとうまく買えません。
つまり土地勘が必要です。

収益性の高い物件を買う目的
収益性の高い物件を買う目的は
- 労働以外の大きなキャッシュフローを得る
事です。
つまり、あまりお金がない人向けの物件です。年齢で言うと、若い人向けの物件です。
例えば、500万の価値しかない田舎の物件も、年間家賃180万円で720万円で売りに出されていたら、利回り25%です。
売却価値としては、220万円の損失です。
しかしながら、180万円の年間家賃が入ってくるならば、2年保有すれば、事実上は損失を消す事ができます。
収益性の高い物件を購入する事は、資産性を犠牲にして「キャッシュフローというシステム」を購入する事と同じです。
基本的に不動産投資は
- 収益性の高い物件から初める
- キャッシュフローを蓄積、資産構築
- 資産を少しずつ「資産性の高い物件」に組み替える
という手順で行うのが、王道だと言われています。
自分の立ち位置と、達成したい目標を定めてから、どちらの物件を買うべきなのか、まずはよく検討しましょう。

医師が物件を保有する目的
医師が物件を保有する目的、まずはこれを明確にしましょう。
以下の2つの質問に答えてください。
- 資産は十分ありますか?
- 医師としての労働は好きですか?
これらの回答によって、目的は異なります。
資産が十分ある場合、目的はただ1つ「資産の保全」です。
資産性の高い物件を購入しましょう。
資産が十分ない場合、目的は「資産の構築」です。
資産を構築する上で
- 労働収入で構築する
- 労働収入以外で構築する
のどちらをメインで行うか、決める必要があります。
その上で重要なのが、医師としての労働が好きかどうか。
好きである場合、労働収入で資産構築しましょう。
もしかしたら不動産の勉強はつまらなく感じるかもしれませんし、少なくとも何千万円かの借り入れを行う事になるので、リスクは上がります。
嫌いな場合、労働収入以外で資産構築しなければいけません。
- 収益性を重視した物件を買って
- 労働以外の大きなキャッシュフローを得る
事から始め、徐々に医師としての労働をセーブする事で、目的は達成されていくでしょう。


医師が狙うべき物件
具体的に、医師がどんな物件を狙うべきか考えていきます。
例えば
医者をやめて、のんびり暮らしたい専門医
の場合は、資産が無く医師としての労働を好まないタイプなので、収益性の高い物件を購入すべきです。労働せず収益を生むシステムを買いましょう。
逆に
医者は続けるが、資産家にはなりたい専門医
の場合、資産は無いが医師としての労働は好むタイプなので、ある程度資産性の高い物件を購入しても良いでしょう。
ローンが出る範囲で、かつキャッシュフローのマイナスに耐えきれないレベルでなければ。
例えば
大家族で家計はいつも余裕がない、中年の勤務医
という場合、資産性と収益性共に重要ですが、両方満たす物件は存在しません。
100点じゃなくて良いので、収益性80点、資産性80点くらいのバランス物件を購入しましょう。
また万が一自分が死んだ時、団信(死ぬと借金がチャラになるローンの特約)で無借金になった物件が相続されたとして、あまりにド田舎だと経営困難になる可能性もあります。
一方で
親が大金持ちで、なんとなく医師になった若い研修医
という場合は、既に(間接的に)資産を持っているため、資産性の高い物件にシフトするべきでしょう。
医師が狙うべき物件を考えるにあたって、目的以外にも、年齢というファクターは大きく影響します。
目的と年齢、これらから「購入するべき物件」の資産性と収益性をどれくらいのバランスにするのか、考えてから物件を探しましょう。