近年、医師でありながら副業をしている人が増えたように思えます。
実際、医師の8割以上が「副業」に興味がある、というデータがあるようです。
参考:医師の8割「副業」に興味
副業をしている、しようとしている医師が増えたと言うよりは
- 医師の労働以外のキャッシュフローを得ようとしている医師が増えた
というのが正確な表現かもしれません。
かくいう僕もその中の1人なのですが。
医師は高給取りでバイト代も高いので、一見すると「お金が欲しいならバイトの回数を増やせば良い」という意見が正解のように思えます。

医師の副業におけるメリット
医師が副業をする、医師としての労働以外の方法でキャッシュフローを得ようとする理由は明確です。メリットがあるからです。
僕が思うに、そのメリットとは
- 税金が安い
- 時間がかからない(≒実質時給が高い)
- リスクの分散
の3つがあると思われます。
1、医師の副業と税金
日本の税制では、累進課税制度が採用されています。
これは端的に言えば給料が高くなれば高くなるほど、取られる税金が高くなる…だけではありません。
税率も高くなるのです。
税率が一定でも、所得が増えれば取られる税金は増えます。そこに追い打ちをかけるように、税率も高くなるため取られる税金がグッと増えるわけですね。
医師という職業に従事している人のほとんどは、ソコソコの高給をもらっています。ガッポリ税金を持っていかれてるのではないでしょうか。
僕の周りの先生では、率にして30%〜40%ほど税金で取られている言っていました。額面2000万円で手残り1400万円、たまらんですね。
この税金の高さが嫌で

という思いから副業をする先生がいると推察されます。
例えば株式投資。株式の配当金にかかる税金は20%ですから(執筆時現在)、医師としての労働から得られる給料にかかる税金より圧倒的に有利なわけです。
このように
- 自分の所得税率よりも低い税率の収入を得る事
は、結果的に税金対策につながります。
医師と個人事業主、税金にまつわる僕の実体験についてはnoteに書いてありますので、興味のある方はどうぞ。
2、医師は副業をうまく使うと実質時給を高める事ができる
また同じ収入を得るのにも、時間がかからない、つまり実質的な時給が高いという点も大きなメリットです。
例えば僕はNY証券取引所に上場しているAT&Tという、アメリカ通信大手の会社の株を持っていますが、配当利回りは購入時で6%程度です。20%の税金を引かれても、手残り4.8%です。

この取引にかかる時間は、証券口座にログインして買い注文を出すまでの3分くらいです。
手残りで5万円もらうためには、医師としての労働としては8万円くらいもらわなければなりません。10万円稼がないといけない人もいるでしょう。
当直バイトを丸1日やってもらえる額ですから、医師としての労働で同じ額をもらうためには24時間働かなければなりません。
このように、税効果も相まって実質時給を高める事ができるのも、医師が労働以外のキャッシュフローを持つ事の大きなメリットの1つです。
個人的にはサイト運営、ブログ運営はアリだと思っています。
1度構築してしまえば、ずっとインターネット上に残り続けます。ネットの海に埋もれさえしなければ、働かなくても広告収入がコツコツ入って来ます。
3、医師は副業を持つ事でリスクを分散できる
医師って高給取りなんですけど、その高給の源泉は全て1つ。医師免許とその知識、つまり医師である人間1人に依存しています。

- 免許がなくなる
- 体が動かなくなる
- メンタル面で働けなくなる
と、給料がシャットアウトされてしまいます。
これは高給をもらい続ける事を前提に生きているお医者さんにとって、なかなか恐ろしい事態です。想像もしたくないはず。
このリスクを分散し、医師としての労働以外の方法でキャッシュフローを得る事ができれば、気持ち的には全然違います。
なんというか、人生に余裕が生まれます。


くらいの気持ちにはなる事ができるでしょう。
僕的には

とさえ思っています。

医師の労働だけに頼らない事そのもののメリットと、それによる精神的な余裕。このメリットが結構大きくて、医師人生のQOLをグッと上げてくれるんですよね。
医師の副業におけるデメリット
医師の副業はメリットだけではありません。デメリットも存在します。
医師の副業におけるデメリットは
- 公的病院勤務の場合、規定に反する
- 本業に差し支える
- やり方が下手だと実質時給が下がる
の3つです。
1、公的病院勤務医師の場合、副業規定に反する
公立病院・公的病院に勤務している一部の医師は公務員になるため、副業が禁止されています。
副業をしていると規定に反するため、基本的には副業をしてはいけません。
もし仮にやっていても、バレてはいけません。
この規定を違反してまでやるメリットがあるのか、という点が1つの問題です。
逆説的ですが、副業をしなければならないような医師、つまり医師の労働に経済状況が100%依存しているにも関わらず経済状況が逼迫している医師に限って、医師免許を失うリスクを恐れて、思い切ったアクションを取れない、という事があるかと思います。
2、副業のやり過ぎで本業に差し支える
どんな副業を始めるとはいえ、最初は時間がかかります。
ただでさえ忙しい医師の毎日に、追加で別の仕事をやっている暇があるのか、という話です。
数少ない余暇時間をぶち込んでも、休まる時間が無く疲弊しきってしまいます。結果的に、本業に差し支える可能性が…。
ここのバランスを崩してしまうと、本業に差し支えが生じてしまうので注意が必要です。
3、副業のやり方が下手だと実質時給が下がる
ここが難しいのです。
医師の時給は基本的に高く、仮に時給1万円だとして、税率が40%だとしても手残り時給は6000円です。
副業にかかる税率が20%だと仮定して、手残り時給6000円を作り上げるには、副業を行う際の時給は
6000/(1ー0.2)=7500
7500円以上である必要があります。
この時給を下回らないように、副業を構築しなければなりません。
別の記事で、ついつい医師がやってしまいがちだけれども、決してやってはいけない副業について書きました。
そこに書いてある事は、つまりは実質時給を下げているからオススメできない、やってはいけないというロジックです。
ではどうしたら良いのか。
医師が実質時給を上げる方向で副業を持つための具体的な方法、これもnoteに書いてあります。

医師の副業としてのブログ
僕は最初、勉強した内容をメモする代わりにブログを始めました。
次第にブログ閲覧者が増え、伴って広告収入も増え、伴ってTwitterアカウントのフォロワーも増えて来ました。

今となっては複数のサイトを運営し、ライターさんを雇ったり仕事を外注したり、もはや副業というか1つの仕事として形を成しつつあります。
それくらい、時代の波が「SNSの運営」と「情報発信」に傾いていたという事なのでしょう。
これからの時代、インターネット上で人格をブランド化し、自身のメディアを持ち、そのメディアを媒介して情報を発信する、という事は非常に重要になってくるはずです。

しかしながら常に時代は移り変わります。
最近は
- オーディオブック
- ポッドキャスト
- Voicy
などの音声コンテンツや
- Youtube
- Tiktok
をはじめとした動画コンテンツに時代の波が来ている感じがします。
ブログやサイトといった、文字ベースの情報発信道具が今後どういう扱いになるのかわかりません。しかし少なくとも、今の時代においては非常に有用である、という事は確かです。
誰向けのブログ、サイトにするのかを考えよう
何かしらのサイドビジネスを始めたい、と思ってブログやサイト運営をする。同時にSNSでアカウントの運営をする。
これを考えつくのは悪い事ではありません。
ただし、闇雲にやるだけでは成果は出ませんし、何より続けられないと思います。
やってみてわかったのは、重要なのは以下の2項目です。
- 目標を明確にする事
- ターゲットユーザー層をある程度絞る事
これらを意識してブログを書いて、サイトを運営する事が重要です。
例えばこのサイトは、医師でありながら副業、税金、投資などお金にまつわる諸々に興味がある人向けのサイトです。
ですので
- 恋愛にまつわる話
- 医学生向けの勉強の話
などは、書かないつもりです。
なぜならば、想定される読者層から外れるからです。
このように想定される読者層を具体的にイメージしてから、SNSの運営やブログ・サイトを構築するようにしましょう。
どうやってターゲット層をユーザーを絞るのか?
いかにしてターゲットユーザー層を絞るか、という事ですが、基本的にはニッチであればあるほど層は絞られます。
例えば
眼科医×開業医=ただの眼科開業医
ではあまりニッチではなく、ありふれたアカウントになる可能性があります。
ターゲットになる人数は多いのですが、競合も多いと言えます。
かといって
眼科医×開業医×アニメ好き×夕食は毎日カップラーメン=アニメ好きで不健康な眼科開業医
にすると、めちゃくちゃニッチなターゲットになってしまいます。
アカウントのブランディングとしてはレアですので、SNS上でフォロワーが増える可能性はあります。
しかしターゲットとなる層もかなり狭まってしまっているため、もはやどういった層の人に情報を届けたいのか良くわかりません。
そうなるくらいなら
眼科医×開業医×投資家=とにかく金を稼いでいる医者
とかの方が「金持ちになりたい医学部生、研修医、医師」をターゲットにできるので、ターゲットになる人数は多いものの、人材としては中々レアな人材なので競合は少ないでしょう。
僕も
20代医師×個人事業主×投資家=若い時から医師としての労働以外の方法で金を稼いでいる医者
という、ターゲットとしてはそこそこ広いターゲットにしつつも、人材としてレアなので競合がほとんどいない状況でアカウントを運営しています。
20代の医師で個人事業開業届を提出し、年数百万の利益を上げて申告・納税している人なんて中々いません。
このように、ターゲットを極端に狭めずに人材のレア度を担保することが、正しいターゲットユーザーの狭め方です。
医師の副業としてのブログを始めるには?
サイドビジネスとしてブログを持つ方法として、一般的には2つの方法があります。
- 無料のブログサービスを使う(場合によっては有料)
- 自分でサーバーを借りてサイトを作成する(有料)
1のメリットは、無料で簡単だという事です。パソコン音痴にでもできます。
1のデメリットは、結局のところ自分のブログではないという点です。常にそのブログサービスのルールに従わなければならず、マネタイズがしにくい、不自由です。
後出しジャンケンでルールを変えられて「広告を貼れません」と言われ1円も稼げない可能性もあります。
ですので本格的な運営には向いていません。
2のメリットは、1の逆です。全て自分次第で
- どこに広告を出すか
- どんな広告を出すか
全て自由です。
アドセンスでも良い、アフィリエイトでも良い、純広告を取ってきても良いわけです。
本格的な運営、事業レベルにまでスケールさせるにはこちらが向いています。
2のデメリットは同じく1の逆で
- 少し面倒
- ある程度お金がかかる
という事です。
とはいえ、それほどパソコンに詳しくない僕でもできる程度で、お金も年間5万円くらいのサーバー代とドメイン代しかかかりません。なおこの代金は最終的に経費に算入できます。
まとめると
- 1のメリット=簡単
- 1のデメリット=自由度が低く本格的な運営には向かない
- 2のメリット=自由度が高く本格的な運営に向いている
- 2のデメリット=難しい
という感じです。
以上のメリットデメリットを考えると、僕は2の方法、自分でサーバーを借りてサイトを作る方法をオススメします。
どのサーバーを借りるべきか?
そうなるとどのサーバーを借りるかという話になるのですが、僕としてはエックスサーバーをオススメします。
数年使っているのですが、運営が簡単で何より高速なのが良い。
最近のサイトは高速性も重要な評価の1つで、サイトがサクサク進むとUI(ユーザーエクスペリエンス)も高くなるので、サーバーを選ぶ上で速度は以上に重要です。
もっと安いサーバーを昔使っていたのですが、サーバーが負荷に耐えられなくなったり、サイトの読み込みが絶望的に遅かったのでやめました。
そもそも医者が月1000円とかをケチるなという…。
エックスサーバーに切り替えたところサクサクで、変えて正解でした。
どのCMSを使うべきか?
次にサーバーを借りたら、サイトのCMSを決めましょう。
CMSというのは、サイトのプラットフォームのようなもので、ワードプレスというものが有名です。
一昔前はホームページビルダーというのがありましたが、今は個人で作るレベルのサイトはほとんどがワードプレスです。

サーバーを借りたらワードプレスをインストールする所まで手順を進めてしまって良いでしょう。
どのサイトデザインを使うべきか?
CMSを決めたら、次はサイトのデザインを考えなければなりません。
サイトのデザインはゼロから作る事もできますが、初心者はテンプレートを使うのが手っ取り早くて簡単なのでオススメです。
テンプレートも様々な種類がありますが、こちらも大きく分けて無料のものと有料のものがあります。
無料のもので使えそうなものもいくつかありますが、僕は使っていません
理由はまず英語表記でわかりにくいという事。
ただでさえわかりにくいパソコンのhtmlやcssの世界が、余計にわからなくなります。インターネット専門用語を英語で理解できる人は、ここをデメリットだと感じないでしょう。
また無料のテンプレートだとどうしてもサイトが重くなります。
逆に高速処理されるようなテンプレートは有料で売っていて、それほど高くない上に初心者でも使いやすい作りになっているのでオススメできます。
ちなみにこのサイトはAFFINGERという有料テンプレートでできています
個人的にサイトの高速性、それに伴うUIの良さを重要視しているので、軽いと噂のAFFINGERにしました。
ここは自分の気に入ったデザインを使えば良いと思います。
まとめると、僕がオススメするサイトを作成する手順は
- エックスサーバーを借りる
- ワードプレスをインストールする
- テンプレートを使ってデザインを決める
です。
医師が副業でブログ媒体を持つ、その意味
さて、医師という職業は社会的には信用度が高く、特に一般人に与える影響は大きいと言えます。
伴って、医師が情報発信をする際、医療情報を一般人向けに発信する事に関して、僕は社会的責任が非常に大きいと思っています。
- 安易に一般人向けの情報発信をするのはやめた方が良い
というのが持論です。
しかしながら
- 何かしらの目的がある
- その目的が社会的に意義がある
- 手段としてSNSやインターネットが有用
であるのであれば、それは自己責任で行っても文句は言えません。
例えば、先天性風疹症候群を啓発するために、現役の産婦人科医が風疹に関する知識をSNS上で発信する、とか。
ただ、医師がサイドビジネスの一環としてのブログやサイトを運営するにあたって、一般人に向けて医学知識を発信するのは、個人的には微妙だなと思います。
というのも、マネタイズがうまくいかないからです。
ニッチな特定のフォロワーを集めるからこそ、その特定のフォロワーに対して価値のある情報を発信し続ける事ができるわけです。
しかしながら有象無象の一般人が大量に集まってきても、何もビジネスにはなりません。
唯一なるとすれば、開業医くらいでしょう(知名度上昇→患者増加→儲かる)。
ハイリスクローリターンです。
本気で副業やサイドビジネスを始めるなら、きちんと目標を立ててターゲットを絞り、アカウントやサイトを運営していきましょう。
