医師がQOLで科を選ぶ事の意味のなさ

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最近の研修医と話していると

QOLの高い科に進みたい

と言う研修医が、増えているように感じます。

僕自身、医師である前に1人の人間として、人生のQOLを追求する事は良い事だと思っています。

しかしながら「人生のQOLを高めたい」という目標に対して、なぜ「QOLの高い仕事に就く」という手段を取ろうとするのかが、いまいち僕には理解できません

おそらくこの思考の持ち主は

QOLの高い仕事に就けば、QOLの高い人生を送る事ができる

と思っているに違いありません。

しかしながら、仕事と人生のQOLは一致しない時代に突入しました

 

仕事のQOLと人生のQOLは別物

一昔前で、終身雇用が当たり前だった頃は

QOLの高い仕事に就く=QOLの高い人生

という式は成立していました。

しかし今の時代は移り変わりが激しく、もはやこの式は成立しません。

終身雇用は無くなりつつあり、転職が当たり前の時代になりました。

こうした移り変わりの速度が速い今の時代では、仕事のQOLも素早く変化します

少し前まで稼げる仕事であった歯医者、弁護士は今や余っているとさえ言われています。

テクノロジーの進化も止まりません。

自動運転により、運転手という職業は消えて無くなるでしょう。

仕事のQOLが、すなわち人生のQOLだという時代は終わりを迎えたと言っても良いでしょう。

 

科目別のQOL、それっていつまで続くの?

さらに言えば、今まさに医療界は様々な影響を受けています。

具体的には

  • 医療費削減
  • 手術器具の進化
  • 手術用ロボット
  • 画像認識技術の進化
  • 製薬業界との癒着にメス
  • 有機化学の発展と高単価薬剤
  • EBM台頭によるデータ重視の医療

などなど、列挙すればキリがありません。

法律、テクノロジー、化学、制度、あらゆる方面から医療業界に変化があります。

この変化の勢いの中、科目別のQOLを吟味する事って、何か意味があるんでしょうか?

例えば皮膚科。

皮膚科とと言えば基本的にQOLが高く、女医さんが多いイメージの科です。

勤務医を続けなくても美容皮膚科で開業したり、人生のQOLを高めてくれる科の代表とも言える科でしょう。

しかし今となっては、美容皮膚科業界は競合がひしめき、競争が激しい状態だそう。

じゃあ勤務医を続ければ良いと思っても、病院によっては

医師募集!年収1500万保証、ただし皮膚科は1000万

なんて求人を出している病院もあります。

今この瞬間のQOLだけを切り取って判断しても、いずれ時代の波に飲み込まれてしまいます。

それくらい今の医療業界は変化に満ちています。

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本当の意味で医師がQOLを考えるという事

QOLの高い仕事に就く=QOLの高い人生、という式が成り立たない時代になり、さらに医療業界は特に変化の波が強い。

医師が本当の意味でのQOLを考えるには、どうしたら良いのでしょうか?

まず1つは、人生の「仕事以外」の要素を考える事です

例えばNIPW(Net Income Per Works)という概念があります。

これは「労働あたりの手残り収入」の事で、人生の「お金」と「時間」に着目した概念です。

お金もあって時間もある、それって人生のQOLを高めてくれる要因の1つですよね?

医師の働き方改革2.0ーNIPWを考える

他にも「QOLの高い仕事を自分で作る」という方法もあります

僕はこのブログの他にも複数のサイトを保有していて、広告収入が毎月30万円ほど安定して入ってきます。

おかげで安心して不動産賃貸業も始める事ができました。

時代の変化に合わせて仕事を変化させられる、QOLの高い仕事を自ら作り出すというのも1つの方法です。

医師の副業、サイドビジネスとしてのブログ

また、お医者さんのような高収入の人だからできる時間を錬金する方法があります。

それは家事代行サービスを使う事。

自分の時給以下で家事の代行サービスを使えば

  1. 同じ時間を失ってより多くのお金を得る
  2. 同じお金を得つつより多くの時間を得る

のどちらかの状態を作り出せます。

忙しいお医者さんが家事・育児で疲弊→家事代行サービス使うべし

このように、人生のQOLを高める方法はいくらでもあります。

逆に手段として「QOLの高い仕事に就いてそこにしがみつく」事しかできない人は、非常にハイリスクです

まずは「QOLの高い仕事に就けばそれでクリア」という考えを捨てる所から始めましょう。

その仕事に寄りかかっているだけでは、いずれ変化の波に飲まれます。

自分の人生のQOLは、自助努力で高めましょう。

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