不動産の相談をされた時に、よく聞く言葉があります。
それは

というような、類です。
冷静に考えれば、確実に稼げる投資案件があるならば、業者があなたに情報を教えるわけがありません。業者の親しい友人や家族なら、あり得るかもしれませんが。
しかしながら、それでも「絶対に儲かる」と強く押されて、不動産投資を始めてしまう人は一定数います。
確実に稼げる不動産投資が存在しない理由
先に答えを言っておくと、確実に稼げる不動産投資は存在しません。
僕も不動産投資を行なっていますが、最終的に儲かるかどうかは、わかりません。
不安を抱えたまま、何千万という借金を抱えています。
その理由は単純明快で
- 不動産投資は「最後にいくらで売却できたか」で投資成績が決まるから
です。
不動産投資は
- 賃料というインカムと
- 最終的に売却した時のキャピタル
という、2つの収益ポイントがあります。
不動産投資で稼げるかどうか、という判定は
インカム+キャピタルー(購入金額+諸費用)>0
という数式を満たすかどうか、です。
この際の諸費用には
- 税金
- 管理費
- リフォーム代
- 大規模修繕代
などが含まれます。
そしてこの数式は、時系列的には未来、物件を売却したタイミングでしか判定できません。
なぜならば、インカムとキャピタルが「未来」の数値であるためです。
仮に20年のローンを組んだなら
- 10年後のインカムがいくらか
- 15年後のキャピタルがいくらか
は、完全に未来の予測ですので、それは神様にしかわかりません。
家賃だって下がったり上がったりします。
地価も変動しますし、建物を解体する費用だって変動します。
未来にいくらの費用がかかるかは、わからないはずなんです。
概ねの人口動態や、周辺賃料相場、金利、インフレ率といったマクロ経済指標から、流れを「推定」する事はできます。あくまで推定に過ぎませんので、上記の数式を満たすかどうかは、その時にならなければわからないわけです。
平たく言ってしまえば「現時点」では、自分の不動産投資案件が「この数式を満たすかどうか」は、確実にわからない。
数式の判定が現時点で判定不能ならば、現時点で「確実に稼げる不動産投資」と言える案件は、存在しない。
以上から、確実に稼げる不動産投資は、確実にに存在しません。

利回り20%×5年=確実に稼げる不動産投資か?
では、超高利回り物件の場合はどうでしょうか。
例えば、利回り20%の不動産投資を5年続ければ、理論上は100%を達成し元本回収できます。
これは「確実に稼げる不動産投資」でしょうか。
答えはノーです。
これを売却した人の気持ちとしては、もし確実に稼げるなら、売却なんてしないはずです。
それでも売却したのには、理由があるはずです。
例えば
- 物件に大きな瑕疵がある
- 周辺人口が一気に減る(工場の移転など)
などです。
この場合は
- 瑕疵を修繕するのに多額のお金が必要
- 現況賃料を5年維持するのは不可能
という将来予測が立っているわけで、「確実に稼げる不動産投資」とは程遠い事が想定されます。
利回り20%物件の場合は「その利益率を5年維持する事」と「5年後に0円でも良いから誰かに売る事」が、難しいかもしれない、というわけです。
しかし中には
- 急に現金が必要になり、売却を優先した
- 相続がらみの案件で、売却を急いでいる
などの理由で、割安価格で売却される時があります。
この場合は、今後5年のインカムもキャピタルも毀損しない可能性が高い、つまり「ほぼ確実に稼げる不動産投資」である可能性が、あります。


確実に稼げる不動産投資は存在しないが…
確実に稼げる不動産投資は存在しません。
しかしながら「かなりの確率で稼げる不動産投資」は存在します。
投資は確率論、期待値によって判断されるべきですが、不動産投資の場合は上記の通り「未来の変数」を多分に含むため、正確な予測はできません。
不動産投資とは
自分の期待値計算を信じて数千万の借金を抱え、成功かどうかわからないまま20年、30年の年月を抱え込む
という投資です。
心理的な参入障壁は、かなり高いと言えます。
だからこそ、旨味のある不動産投資案件にありつく事ができ、だからこそ不動産投資で財を成している人もいるわけですね。