不動産投資の金利上昇リスクに備えてできる事

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不動産投資をしていると、金利上昇リスクについて語られる事があります。

  • 今は金利が安いからやっていけているだけ
  • 金利が上昇したら破綻する

など、色々な声が聞こえます。

果たしてそれは真実なのでしょうか。

また、不動産投資家が金利上昇リスクに備えてできる事は、あるのでしょうか。

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不動産投資の金利上昇リスクとは

下記のような金利、融資条件で不動産投資をしていたとします。

仮にこの年間返済額に対して、満室時家賃収入が年間900万円だとしましょう。

不動産投資において「返済比率50%以下」というのは大きな1つの目安です。

シミュレーションすると、こうなります。

いくら手元に残るでしょうか?

900万円のうち、20%である180万円を修繕管理費として積み立てます。

利息は平均して年間60万円程度で、これは経費に当てる事ができます。

1億円のうち、建物部分が5000万円だとして、25年ローンなので、5000万/25=200万/年の減価償却を得るとします。

すると

900ー(180+60+200)

=460万円

法人税が30%だとして

460×0.3

=138万円

が法人税として支払う金額です。

年間返済金額は452万円なので、手元に残る金額は

900ー(180+452+138)

=130万円

です。

仮に金利が3%に上昇するとどうなるか、考えましょう。

年間の利息の平均は170万円です。

税引き前利益は

900ー(180+170+200)

=350万円

法人税が30%だとして

350万×0.3

=105万円

が支払う法人税です。

年間返済金額は569万円ですので、手元に残る金額は

900ー(180+569+105)

=46万円

です。

金利が3倍になり、手残り利益は3分の1に減少しました。

これが、不動産投資における金利上昇リスクです。

 

なぜ不動産融資の金利が上昇するのか

不動産投資に対する融資の金利が上昇するのは、2つの理由が考えられます。

  1. デフレ×不動産融資のリスク上昇→金利上昇
  2. インフレの結果×不動産含め融資全般の金利上昇

どちらかが想定されます。

1は、インフレは起こっていないけれど、銀行側が不動産投資に対する融資をリスク高と判断した場合です。

リスクが高いと判断すれば、お金を貸している側が「金利を上昇させて、見えないリスクに備えたい」と思うのは、普通の事です。

2は、単純に物価が上がった場合です。

お金の価値が下がり、物やサービスの値段が上がる世の中では、お金を借りてでも物やサービスを買いたい人が増えます。

借りたい人が増えれば、お金を貸している側は「もっと金利を高くしても借りてくれる人がいるだろう」と思い、金利は上がります。

金利が上がるなら、家賃が上がる、とは限りません

この2つの決定的な違いは、家賃上昇の有無です。

後者の場合、家賃は上昇します。特別何もしなくても、最終的に収支が合う投資案件もあるでしょう。

前者の場合、物価は上昇していませんので、家賃は上がりません。

しかし、銀行側が不動産投資に対する融資を渋っている、リスクが高いと判断しているわけですので、物件価格は下がります。

売却するとしても安くしか売却できず、かつ金利上昇によりキャッシュフローが悪くなる。

まさに八方塞がりになるリスクを含んでいるのが、1の場合です。

 

不動産投資、金利上昇局面での対処法

では、そんな怖い怖い「デフレ×金利上昇」局面で、不動産投資家はどういう対処をしたら良いのでしょうか。

まずできる事の1つ目は、融資の借り換えです。

銀行側が金利を上げてくるのであれば、より有利な金利でお金を貸してくれる別の銀行に借り換えの案件を持っていきましょう。

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次にできる事は、繰上げ返済です。

仮に、先ほどのシミュレーションで不動産投資を続けていたとします。

この投資で5年経過し、ある時いきなり銀行から

金利3%にあげまーす

と言われたとします。

残債は8194万円です。

年間返済額が92万円も増えてしまいました。

このままだと、キャッシュフローはなんとかプラス、空室が続けばマイナスになってしまいそうです。

ここで頼るのは銀行、ではなく、貯めておいた現金です。

つまり繰上げ返済を行います。

仮に2000万円返済したとします。借り入れは6194万円になりますから

となり、年間返済金額は金利上昇前よりむしろ減少しています。

また繰上げ返済をする事で、支払利息が減ります。

  • 繰上げ返済前利息:2712万円
  • 繰上げ返済後利息:2050万円

その差、662万円。

投資利回りとしては、662万を20年で支払うとして、年間33.1万円の金利を抑制できますから

33.1万/2000万×100

≒1.7%

です。

この2000万円の繰上げ返済は、配当利回り的には年利1.7%というプラスのキャッシュフローを生む、という事です。

元本保証された、年利1.7%の投資商品を買うのと同じです。

これが仮に、例えば定期預金元本保証で年3%の投資商品がそこらへんにある時代なら、繰上げ返済はしない方が良いです。

2000万円でその商品を購入し、年間60万円の配当をもらった方が得です。

このようなシチュエーションに遭遇するのは、インフレ時です。

インフレ時は家賃も上昇しますし、金利が上がっても無理に繰上げ返済しなくても良い、というのは、そういう意味ですね。

 

不動産融資の金利上昇が心配なら、現金を持て

不動産投資において、金利上昇が不安なら、やるべき事は1つです。

現金を持つ。

キャッシュを持つ。

これだけです。

現金を持つのは、じゃんけんで言うところの「後出しジャンケンに参加する権利」を持つのと同等です。

後からいくらでも、その現金という「弾」を使って、外から攻撃を仕掛ける事ができます。

キャッシュさえあれば、金利上昇は怖くないです
ガンガン稼ごう
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