億ション。価格が億を超える高級マンション。
まさに経済的な成功を体現するような代物ですよね。
おそらく購入する人達の多くは
- 投資家
- 起業家
- 有名人
- 開業医
といった所でしょう。
そんな億ションですが、はっきり言って勤務医には手の届く代物ではありません。
この前とあるドクターが

などと申しており、ズッコケそうになりました。
勤務医が億ションを買ってはいけない理由
一介の勤務医が、億ション購入してはいけない理由は2つあります。
具体的には
- 収入に対して値段が高過ぎる
- 不確実なギャンブル過ぎる
の2つです。
勤務医の給料に対して億ションは値段が高過ぎる
まず1つめ。
億を超える居住用の不動産は、はっきり言って単なる勤務医には高過ぎます。
勤務医の年収は、たかが1500万〜2000万程度。手取りで1200万〜1600万程度です。
仮に1億円の億ションを、金利1%で35年ローンを組んだとします。
ローン計算で計算すると、月々の返済額は28万2000円です。
ここに
- 管理費
- 修繕積立費
- 固定資産税
- 各種保険代
- 駐車場代
が上乗せされます。
それぞれ毎月いくらくらいになるのでしょうか。
億ションの管理費、修繕積立費
管理費、修繕積立費は物件によって結構バラバラです。
オートロック、エレベーター、24時間監視などがあれば、管理費は高くなります。
加えて築年数が経過すればするほど、修繕にかかるお金も増えます。
億ションクラスになると、概ね毎月5〜7万円程度かかると言われています。
間を取って毎月6万円だとします。
億ションの固定資産税
公示価格に対して、固定資産税評価額は70%というのが相場です。
つまり1億円の億ションの固定資産税評価は、大体7000万円という事になります。
固定資産税の税率は1.4%、都市計画税が0.3%なので
7000万×1.7/100
=119万円
が、年間の固定資産税です。
毎月約10万円ですね。
億ションの各種保険、駐車場代
億ションの火災保険代金は、一般的な一戸建ての火災保険より少し安く、年間1万5000円程度だと言われています。
駐車場代は立地によりますが、安く見積もって月1万5000円くらいでしょう。
億ションを購入した場合、生きるのに毎月50万必要
億ションをローンで購入した場合、ローンの返済で毎月28万2000円かかります。35年。
加えて
管理費、修繕積立費=6万円/月
固定資産税=10万円/月
各種保険代=1000円/月
駐車場代=1万5000円/月
の、合計17万6000円が追加されます。
ローン返済が28万2000円なので
17万6000円+28万2000円
=45万8000円
毎月約46万円の出費です。
ここに電気代、ガス代、水道代などを加えると毎月約50万円ほどかかると予想されます。
勤務医の年収が2000万、手取り収入が1600万だとして、毎月133万の収入のうち、50万は生きるためだけに支払わなければなりません。
年間600万円、全体の収入の38%ですよ。
何のために働いているのやら…。
加えてベンツのような高級車を買ってしまっては、目も当てられません。
しかも35年後にローンを支払い終わったとして、それでも毎月17万ちょっとは出費があります。
厳密には固定資産税評価額が下がっているので、支払う固定資産税が下がります。
しかし修繕積立金の値上げの可能性もあるため、相殺されるとすれば毎月15万くらいは出血し続けます。
単なる一介の勤務医には、億ションは高過ぎます。
じゃあいくらまでなら買って良いのか?
それについては下記。
億ションは値上がりするから買っても良い←本当?
とはいえ、億ションは値上がりする場合もあります。
つまり買った時の値段よりも高く売れる。
そうなると、実質的には家賃はゼロですし、売却益も出ます。
良いですねえ。
しかしながら、億ションの値上がりって予想できるでしょうか?
どれくらいの時期に、どれくらいの値段値上がりしているか、わかるのでしょうか。
もしわかるのであれば、それは確かに勝率の高い投資になるでしょう。
しかしもしそれがわかる、つまり未来がわかるなら、株式で信用取引を繰り返した方が多分儲かります。
億ションの値上がり益、キャピタルゲインを狙うという一種の不動産投資は、あまりにも不確実過ぎます。
億ションの値動きは予想できない
億ションの売買でキャピタルゲインを得るには、物件価格の値動きを正確に予想する必要があります。
しかし億ションは、一般的な賃貸物件に比べて値動きの予想が難しい、というかほぼ不可能です。
億ションの値動きが予想できない理由
億ションの値動きが予想できず、一般的な賃貸物件の値動きが予想しやすいのには理由があります。
それは
- 家賃から逆算して物件価格を出しやすい
- 家賃が高いと景気に左右されやすい
の2つです。
まず賃貸物件は、概ねその物件の地域、間取り、築年数、内装でどれくらいの家賃で空きがあるか、ネットで調べる事ができます。
入ってくる家賃が想定できます。
その値段で利回りを弾けば、物件価格が計算できます。
つまり賃貸物件は、賃貸需要をネットで調べる事で概ねの物件価格を計算できます。
次に、景気。
億ションを借りたり買ったりする人は、景気の良い時に増えますが、景気が悪いと減ります。
家賃を下げてでも、生き延びないとなりませんから。
一方で家賃5万円のアパートに住む人は、あまり景気に左右されません。最低限の家賃を支払ってでも、なんとか賃貸物件に住みたい人は、どんな時代にも必ずいます。
むしろ景気が悪いと、家賃を下げて人が増えるかもしれません。
常々思ってるのは、高めの家賃の高級物件は、景気が良い時は需要があるけど悪い時は需要がグッと減る。
一方毎月5万円の家賃のアパートは、景気に左右されにくいと思う。
低めの家賃を払って住む人は、景気が悪くても一定数必ずいる。何なら上から落ちてくると思う。
— ラス (@3n4rs) 2019年5月3日
億ションは基本的に高級嗜好品と同じです。
その値段、賃料は景気に左右される事が多く、金額自体も大きく動きます。
一方で一般的な賃貸物件は、よほど高価格帯で無い限り、大きな値動きは無いでしょう。
勤務医って決してお金持ちじゃない
勤務医をやっていてわかるのですが、全然勤務医って金持ちじゃ無いんですよ。
家買って車買って、家族がいて、なんてやってたら普通に家計はいっぱいいっぱい。
夫婦で医者のダブルインカムの場合、話は少し別ですけれどね。
一馬力の勤務医の場合、くだらないプライドは捨てて、なるべく節約しましょう。
経済的には一般人だという自覚を持って、散財を控えましょう。
医師の経済的自由に最も重要なのは、虚栄心を捨てて謙虚になる心、かもしれませんね。