2019年、スルガ銀行の1件から始まった銀行の不動産投資に対する融資引き締めが進行し、徐々に投資用不動産価格が下落。
少しずつですが、買えそうな水準の物件が出始めました。
そんな中、駐車場無しの地方物件で高利回りな物が出たので、1度真剣に検討しました。
利回りの高さに騙されるな!駐車場無しの地方物件
物件スペックはザッとこんな感じです。
- 築17年、重量鉄骨、3000万
- ファミリータイプ6部屋、4部屋入居中
- 現況利回り10%(300万/年)、満室時想定15%(450万/年)
- 地方、周囲に病院や学校が多数
- 駐車場無し
- 隣地に駐車場借りている、年間50万程度負担
- 隣地は売地になっている
正直、このスペックで駐車場さえ付いていれば購入できるレベルでした。
しかし色々調べた結果、この物件に投資するのは断念しました。
隣地の駐車場を借りているものの、売りに出ているのでもし買い手が見つかってしまえば、駐車場は使えなくなってしまいます。
永久に借り上げる事ができれば問題ありませんが、保証はありません。
またこの地域は車が必須の地域で、ましてやファミリー用ですから駐車場が無くてはとても客付けできません。
という事で隣地をそれなりの値段で買取するしかない、と思い調査を開始しました。
駐車場無しの地方物件検討、必ず周囲の売地は確認しよう
まずGoogleマップで物件住所を入力します。
物件を見つたら、隣地に移動して「販売している会社名が書かれた看板」が無いか、探してみます。
今回は看板が立っていたのですぐ見つける事ができました。見つからなければ、販売中会している会社に問い合わせても良いです。

と言えば、調べてくれます。
次に隣地を売っている会社に電話をかけて、以下の項目を訪ねましょう。
- 平方メートル単価いくらで販売しているか
- 分割売却は可能か
この物件の場合、駐車場の数は6台あれば良さそうです。それ以上あればさらに良いですが、利回りが下がります(後述します)。
隣地は駐車場10台以上の月極め駐車場でしたので、分割購入が可能ならその方が追加の土地代はかかりません。
もし不可能な場合、全ての土地を購入する前提で利回りを計算し直す必要があります。
駐車場無しの地方物件の不動産投資で注意するべき事
結果的に、この隣地は220㎡ほどで、販売価格は2700万ほどでした。土地の分割は不可。
路線価は㎡単価10万程度だったので、仮に全て買うとなると2200万必要ですね。
こうなると利回りは一気に低下して、現況利回り5.7%、満室時利回り8.6%です。
駐車場としての土地の運用利回りは、5%程度だと言われています。その分が足されるので、駐車場ありの物件として見たときに利回りが低下してしまうわけです。
築17年の重量鉄骨ですから、耐用年数34年から17年を差し引いて17年の融資しか受ける事ができず、これだと年間のキャッシュフローはマイナスです。
赤字を垂れ流すこと間違い無し。
このように、地方の駐車場無し物件で近くの駐車場を借り上げている場合、本来であれば必要な土地代が購入費用に含まれていないため、見た目の利回りが高く出る場合があります。
これは大きな落とし穴です。
厳密には、駐車場代として年間土地代の5〜6%程度を支払っているでしょうから、土地代を分割払いしているのと同じですね。
やはり車社会の地方ならば、駐車場が全く無い物件の入居付けは困難です。
駐車場の確保は必須で、土地代を加味した利回りで物件検討しなければなりません。
結局この物件は、隣地の値段交渉もうまくいかず、流れてしまいました。
今回の学び
- 地方の駐車場無し物件は、利回りが高く見える
- 周辺に駐車場を借り上げている場合、実際はその土地代を分割払いしているだけ
- その土地を購入する前提で利回りを計算し直して検討しよう