医師にとって留学と言えば、1つの憧れです。
国という枠組みを超えて、世界各国の医師達と交流するのは、さぞ知的に満たされ楽しい時間でしょう。
長い人生の中で、言葉も文化も違う国で過ごす時間は、きっと刺激的なんでしょうね。
また海外留学から戻られた先生を見ていると、心なしか大きな存在に見えます。
広い世界を見て来たからでしょうか。
そんな医師にとっての憧れである留学ですが、問題になるのはお金と年齢です。
今回は「一体何歳までなら医師は留学できるのか」という話。
お金を切り口に紐解いてみます。
医師の留学限界年齢を、お金の問題から考える方法
具体的にどう考えるか。
それは
- 留学によって失われるお金
- それによって将来の貯金目標残高を下回るかどうか
によって判定します。
医師として生きていくとはいえ、その前に1人の人間です。
家族がいて養わないといけない子供の数も違うでしょうし、住んでいる地域によって教育にかかるお金も異なるでしょう。
そうすると「将来必ず必要なお金」が存在します。いわば経済的な最低ラインですね。
その最低ラインを、将来的に持っているであろう貯金が突破できるか。
これで判定します。
つまり「今までの貯金」と「今から稼ぐ額」を足して、「留学にかかる費用」を差し引いた額が、「経済的な最低ライン」を上回る事ができるのかどうか。
式で表すと
A=B+CーD
A=将来の貯金
B=現在の貯金
C=現在から定年までに稼げる余剰資金
D=留学によって失われる資金A>経済的な最低ライン → 留学可能
A<経済的な最低ライン → 留学不可能
という事です。
本来なら退職金が追加されますが、ここでは考慮しません。
退職金がかなり少ない結果になる場合もあるでしょうし、医師は結婚が遅いので、退職した頃にはまだお子さんが大学生の家庭もあるでしょう。
退職金分は「追加の余剰資金」という事にしておきます。

医師の定年後、いくら貯金があれば良いか?
まずは定年後の「経済的な最低ライン」を判定しましょう。
総務省の統計によれば、定年時の預貯金額平均(2人世帯以上)は2000万円〜3000万円です。
まあでも、退職金分でこれくらいにはなるのでしょうか。
医師の生活レベル、子供の人数、マイホームのローンの高さなどを考えると、平均額以上は貯金を持っておきたいところです。
たまに医師が

なんて言っている人がいますが、将来的にどうなるかはわかりません。
今は定年しても閑職に就けたり、開業を続けたりできていますが、今後も同様だという保証はどこにもありません。
一般企業の終身雇用は既に危ぶまれていて、医師だって例外ではないはずです。
という事で、定年までに3000万円の現金、これを1つの経済的な最低ラインに設定しましょう。
ちょっと少ない気もしますが、退職金をもらえる医師はここに追加があるので良しとします。
医師の「定年時貯金残高」予測シュミレーター
勤務医の年収は様々ですが、ここでは年収1500万円想定とします。
もちろんある程度キャリアを積めば、それ以上年収は上がるかもしれません。ここでは計算を簡単にするためにも、年収増分は増える教育費などの出費によって相殺されると仮定します。
慣らして「年収1500万」は妥当な金額ではないでしょうか。
年収1500万の勤務医1馬力の場合、税引後の「家計の月収」は約85万円/月です。
一般的に貯金の目標額は
月収の10%…最低ライン
月収の20%…目標ライン
月収の30%…優秀ライン
とされています。
ここでは、85万円のうち17万円(手取り月収の20%)を貯金に回せたと仮定します。
年間約200万円、貯金残高が増えるので、C(現在から定年までに稼げる余剰資金)は
C=200万円×(定年ー年齢)
です。

医師の留学限界年齢を、お金の問題から考えた結果
医師が留学すると失われる経済的なコストは、1年で1300万円です。
詳しくはこちら。
医師野留学年齢限界を判定する式は
A=B+CーD
A=将来の貯金
B=現在の貯金
C=現在から定年までに稼げる余剰資金
D=留学によって失われる資金A>経済的な最低ライン → 留学可能
A<経済的な最低ライン → 留学不可能
なので、これに当てはめると
A=B+CーD
A=将来の貯金
B=現在の貯金
C=200万円×(定年ー年齢)
D=1300万/年A>3000万 → 留学可能
A<3000万 → 留学不可能
となります。
不等式を解くと
現在の貯金+200万×(定年ー年齢)−1300万>3000万
200万×(定年ー年齢)>4300万ー現在の貯金
定年ー年齢>21.5ー(現在の貯金/200万)
という結果になりました。
これを整理して、四捨五入すると
定年ー22+(現在の貯金/200万)>年齢
ならば、留学可能だと判断されます。
定年が60歳だとするならば
- 38+(現在の貯金/200万)>年齢
で、経済的には留学が可能です。
2年留学する場合は、計算すると
- 32+(現在の貯金/200万)>年齢
で、経済的には留学が可能です。
貯金残高別!医師の留学可能年齢一覧
上記の不等式は、2つの変数によって導かれるので、貯金残高別で留学可能年齢を判定できます。
ザッと計算すると下記のようになります。
貯金残高≒200万の場合
1年留学の上限年齢=39歳
2年留学の上限年齢=33歳
貯金残高≒400万の場合
1年留学の上限年齢=40歳
2年留学の上限年齢=34歳
という感じで、200万刻みで上限が1年アップします。
40歳までに1年留学に行きたければ400万円、2年留学に行きたければ1600万円の貯金残高が必要です。
40歳までに1600万の貯金残高は、結構頑張らないと勤務医1馬力では難しそうです。
やはり2年はハードルがグッと上がりますね。
逆に1年の留学でしたら、38歳以下なら借金して行っても経済的には問題ないレベルです。
35歳までに1年の留学をするなら、貯金は600万必要な計算になります。留学先での生活費、引越しや諸費用含め1年で600万を使い切ると思えば、妥当ですね。
最後に
いかがでしたか?
やはり留学は、お金が結構かかりますね。
とはいえ留学というチャンスは、自分が思っていた時に来るとは限りません。
自分の年齢、貯金のパラメータ的に、留学可能年齢から逸脱してしまう可能性だってあるはずです。
そうならないためにできる事、それは貯金をしておく事です。
チャンスが巡ってきた時に、手元にお金が無いという理由で諦めてしまう事の無いよう、キッチリ貯金はしておきましょう。

もし貯金が足りない場合、勤務医がお金を稼ぐ手段としては、やはりバイトが手っ取り早いと思います。
留学に行きたい若手は、なるべく早い段階からバイトをして貯金をしておくと良いでしょう。
留学資金用口座を作って、バイト代をそちらに流しておいても良いかもしれません。
まとめ
1年留学の場合は、年齢が
- 38+(現在の貯金/200万)
以下ならば、経済的には留学可能。
2年の場合は
- 32+(現在の貯金/200万)
以下ならば、経済的には留学可能。