大学4年の頃、僕はニューヨークにいました。
フラフラと旅をしていたのですが、そこでとあるビルを見て驚きました。
ニューヨークの高層ビル群の中でも、目立って大きなビル。上の方には「Met life」の文字。
メットライフ生命で有名な、保険会社のビルでした。
その時に僕が思ったのは

という事でした。
保険とは、保険会社が儲かる仕組みになっています。
賭けとしては期待値が1以下です。つまりやらない方が良い。
数学的に言えば、勝率の少し良いパチンコや競馬と同じです。
ただ生命保険に限っては、家庭や子供を持つ人は入らないわけにもいかないでしょう。
また日本では、生命保険料控除という税控除もあります。
期待値的には入らない方が良いのはわかっていても、入る事によって得られる安心感、税制上のメリットも輝いて見えますよね。
結局のところ、生命保険に入るなら
- どんな生命保険に
- どれくらい入れば良いのか
という事を、ここでは議論したいと思います。
医師が知るべき「生命保険料控除」
まず前提として保険は基本的に入らない方が得なのですが、日本では生命保険料控除という物が存在するのでそうとも言い切れません。
生命保険控除とは、簡単にいうと
生命保険料として支払ったお金には、税金をかけないよ
という思考に基づいた、控除の事です。

厳密には支払った保険料全てが控除されるわけではないので、支払った保険料の一部しか非課税にはなりません。
国税庁によれば、年間8万円以上の拠出は「控除額が一定4万円」になるので、8万円ピッタリくらいの保険料を払うのがおトクです。
- 追記:ここでの「生命保険料控除」は、新生命保険料控除を指し示しています。介護医療保険料控除、新個人年金保険料控除は含んでいません。
例えば8万円ピッタリ保険料を払っていたとして、期待値的にリターンが7万5000円だったとしましょう。
4万円が控除され、所得税率が33%の医師の場合は
4万×0.33=13200円
税金が安くなります。
トータルリターンは
13200+75000ー80000
=8200
年間8200円のプラスです。
このように、期待値的には損失を被るはずの保険という商品が、生命保険控除による税効果でトータルリターンがプラスに転じる事があります。
この時のコツは、なるべく生命保険料控除を効率良くもらう事。
特に医師のように給与所得が高く、所得税率が高い給与所得者の場合、生命保険料控除による税効果が相対的に大きくなります。
決して無視できません。

医師向けの生命保険、オススメは
医師向けの生命保険のオススメは
- 明治安田生命の「じぶんの積立」
- ネット型保険の掛け捨てタイプ
の2つです。
明治安田生命の「じぶんの積立」が医師にオススメな理由
医師向け、というより世の中のサラリーマン全てにオススメしたい生命保険が、明治安田生命の「じぶんの積立」です。
ちなみに明治安田生命の回し者ではありません(笑)。
この保険を僕がオススメする理由は、期待値が1以上だからです。
つまり拠出した保険料分は全て将来的に手元に返ってきます。
「じぶんの積立」のホームページによると、月5000円拠出して5年で30万が貯まり、さらに5年放置すると3%の利子をつけて返してくれるそうです。
お分かりだと思いますが、ほとんど単なる定期預金です。
生命保険料控除は使えるので、トータルリターンは圧倒的にプラスです。
明治安田の方に質問してみたところ、この保険単独ではやはり赤字なようで、社員もこの保険には加入できないそう。
おそらくこの保険を足がかりに、他の保険をオススメする戦略なのだと思います。
「じぶんの積立」と生命保険料控除
受け取り時の税金ですが、支払い総額よりも増えた分には課税されます。つまり30万の3%なので、9000円が課税対象です。
医師の給料なら33%取られたとしても、9000円の33%ですから残り6000円くらい、そのままプラスです。
この保険は1口5000円/月ですので、年間8万円の控除を効率良くもらうと考えれば1口加入が効率的です。
ちなみに僕はこの保険に入っています。もちろん1口5000円です。
ただこの保険で気になったのが、5000円の支払いが5年で終わってしまう点です。満期までの残り5年の支払いがなくなってしまうため生命保険料控除を使った税効果を受ける事ができません。
そこで保険担当者さんに

と質問してみました。
すると、加入して5年後にもう1口別で入れば支払い続ける事できる、との回答をいただきました。
某「自分の積み立て」の会社の方とお話。
月5000円の拠出が五年で支払い終了になってしまい、生命保険控除を受けたいので満期の10年まで待てない場合、積み立てた分は放置して追加で別の積み立てを開始できるとの事。
このスキームなら、年間15000円くらい、半永久的に税効果を受ける事ができる。
— ラス (@3n4rs) 2019年4月14日
子供がいる医師は「ネット型×掛け捨て」の生命保険がオススメ
さて上記保険は保険というより、ほぼ単なる定期預金でした。
もし結婚して子供がいる場合、自分が死んだら子供達が経済的に困ってしまう場合は、別で生命保険に入る事を検討するべきです。
ただし、前提として保険は入らない方がトクです。
もし「じぶんの積立」以外に生命保険を購入するなら
- ネット型保険
- 死亡保険のみ
- 掛け捨てタイプ
- 月々の支払いは2000円程度
にするのがオススメです。
まずネット型保険。
これは人件費がかからず保険会社側の運営コストが安いので、単純に期待値が高いのでオススメです。
次に死亡保険のみで掛け捨て。これは支払う保険料を抑えるためです。
前提として、保険は入らない方がトクです。つまりベット額は少なければ少ない方が良い。終身タイプにしたり、医療保険とかもろもろの特約をいっぱいつけて、保険料が高くしてはいけません。
そして月々の支払いが2000円、これは生命保険料控除のことを考えての事です。
国税庁によれば、生命保険料控除は「年間8万円以上」の支払額に対して控除が「一律4万円」です。

明治安田の「じぶんの積立」で月5000円(年間6万円)を支払っている場合、残り2万円(1666円/月)で年間8万円の支払いになります。
生命保険料控除を最大効率で使う年間8万円に近づけるためには、概ね2000円弱という計算になります。
ちなみにとあるネット型生命保険では、僕の年齢(20代後半)で健康な男性が「死亡保険のみ」で「掛け捨て」にする場合、死亡時の受け取り金は2000万くらいに設定できます。
死亡時の受け取り保険金がたった2000万なんて、少な過ぎる!
という意見が出そうですが…。
医師だからと言って…その生命保険、本当に必要?
そもそも生命保険って本当に必要なのでしょうか。
仮に自分が死んだとして、奥さんと子供が残って、彼らは生命保険が無いと本当にやっていけないのでしょうか。
確かに彼らの人生に死者は介入できませんから、歯がゆい思いで死んでいくのは嫌ですし、心情としては理解できます。
ただあくまで数字だけ見た場合、おそらくそんなに生命保険金が必要だという家庭は少ないと思います。
残された遺族には、遺族年金が入ります。
マイホームや不動産を所有していてローンがあっても、住宅ローンに団体信用保険(通称「団信」)が付帯している場合、残りのローンを遺族が支払う必要はなく、その不動産は彼らのものになります。
住む家があって、少ない額だけども遺族年金が入ってくる。
もちろん貯金もある。奥さんだって働ける。
今のお年寄りは元気ですから、奥さんの実家に頼ったって良い。
果たして、保険金がないと本当に生活できないのでしょうか…。

もちろん、団信付きの住宅ローンを組んでいないとか、そういう理由でリスクヘッジをするのは良いでしょう。
配偶者の職業、年収にもよります。例えば医師同士の夫婦なら、まず不必要です。逆に奥さんが専業主婦の場合、必要度はアップします。
保険は基本、期待値1以下のギャンブルです。

自分の家庭の状況、配偶者の職業と年収、団信付きのローンの有無、実家を頼れるかどうかなど、様々な要素から「本当に必要な保険料」をザッと算定して、必要なら最低限の死亡保険に入る。
数学的にはこれが最適解です。
生命保険以外の各所保険、自動車保険や火災保険については下記記事にまとめました。興味のある方はどうぞ。