【やめとけ】新築の区分マンション投資が難しい理由

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医者になりたての頃、よくこんな電話がかかってきました。

マンション投資で節税しませんか?

おそらく医者に限らず、弁護士や大企業にお勤めのエリートサラリーマンなど、いわゆる高属性と言われる人のところにも連絡が来るでしょう

当時の僕は「この話には乗らない方が良い」という事だけは知っていましたが、具体的に何がどうダメなのかはあまりわかっていませんでした。

今回はこの手の電話でありがちな、新築の区分マンション投資についてです。

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新築の区分マンション投資が難しい理由

数ある不動産投資の中でも、新築の区分マンションは最悪です

なぜならば

  1. 価格が割高
  2. 利回りが低い
  3. 資産性が無い

からです。

何もかもが投資家にとって、不利である確率が非常に高い

ここで「不利である確率が高い」という表現は、不動産投資の性質を表しています。

不動産投資は株式や為替と異なり、流動性が低い資産です。

流動性が低い資産は、一方に不利で一方に得な、不合理な取引が行われる可能性があります。

取引に参加している人数が少ないわけですから、当たり前ですね。

運やタイミング、物によっては得する物件もあり得るという事です。

これは全ての不動産投資に当てはまります。

詳しくはこちら。

儲かる不動産投資と、儲からない不動産投資がある理由

 

1、価格が割高である確率が高い

新築の区分マンションが不利である理由の1つ、それは決して安く買う事ができないという事です。

なぜならば

  1. マンションを建築した会社の利益
  2. マンションを販売した会社の利益

が乗っかっているからです。

土地、建築費、税金、これらに加えて上記の利益が加わった値段で購入する事になります。

これはあらゆる新築建造物に言えますが、新築の区分マンションは中でも上記の利益の額が大きい

つまりマンションの建築、販売会社に支払う額が多い。

逆に言えばこれらの会社は利益が見込めるからそこにマンションを建てたわけで、赤字が出るような値段で売る事は基本的にしません

無理に売る必要がありません。

無理に売らないといけないような市況の時は、新たにマンションを作って売るような事をしませんから。

市況が極端に悪化し、競売物件が増えた時には新築の区分マンションも値下がりするかもしれませんが、普通は会社側がその市況を見込んでいるはずです

結果的に、不動産に特徴的な「不合理な取引」が存在しにくく、売る側からすれば有利である確率が高いわけですね。

にもかかわらず

将来的に値上がり益も見込めますよ

とか

低金利の今のうちにローンを組んだ方が得です

とか

赤字が出ても節税できます

とか、様々な謳い文句で売ろうとしてきます。

不動産投資と税金についてはこちら。

医師向け「節税、税金対策用」区分マンションの電話販売には絶対乗ってはいけない

 

2、利回りが低い確率が高い

新築の区分マンションは、投資対象としての利回りが低い場合がほとんどです

全ての不動産で新築の利回りは中古に比べて低いのですが、その中でも新築の区分マンションは突出して利回りが低いです。

理由は

  1. 物件価格が割高だから
  2. 修繕積立金、管理費が高いから
  3. 値段が1棟ものに比べて安いので買いやすいから

です。

理由1に述べたように、物件価格は割高です

また修繕積立金、管理費など、毎月の固定費がかかります

それぞれ将来の建物老朽化に備えた「工事の積立金」と、エレベーターや電球や自動ドアなど「共用部分の管理費用」です。

これらは区分マンションに限らずかかるコストですが、区分マンションのこれらのコストは割高です。

なぜならば、その値段を自分で決める事ができないからです。

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1棟ものは自分1人がオーナーなので、自分1人で修繕積立金を決定する事ができます。

区分マンションは複数の人が所有しているので、オーナーが集まって管理組合を作り、そこで会議して決定します。

修繕積立金の値段も自由に決められませんし、面倒です。

以上の理由から、結果的に利回りが低くなってしまいます

たまに修繕積立金を持ち逃げされて、全然積立金が溜まっていない中古の物件とかも存在します…

そういう物件は毎月の修繕積立金が高く設定されています(持ち逃げされた分を再回収するため)

 

3、資産性が無い確率が高い

銀行から借り入れをして不動産投資をする場合、投資できるかどうかは「銀行からの融資が下りるかどうか」で決定されます。

新築区分マンションを買ってしまうと、次に物件を買う時に銀行から借り入れをする事ができません

なぜならば、銀行は区分マンションを資産として評価しないからです。

つまり借り入れの担保として機能しません。

1つめの物件を4000万のローンで購入したとしましょう。

1棟ものの場合、仮に積算価格が4000万円だとしたら銀行側からすれば1円も債務超過になっていません。

1つ目の物件の経営状況、本業の収入などによりますが、おそらく次の融資は問題ありません。

しかし新築の区分マンションの場合、銀行からの評価はほぼゼロ円です

銀行側からすれば、貸し出しした4000万円分、債務超過になっています。

お医者さんや弁護士など、よほど高属性出ない限り次の融資は厳しいでしょう
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新築の区分マンション投資で唯一失敗しないパターン

新築の区分マンション投資で唯一失敗しない、成功するパターンは

たまたま買った時より高く売れた

これに尽きます。

つまり

  1. 市況が良い(景気が良い)
  2. その地域が値上がりした

などの条件が重なって、初めて成功を納める事ができます。

つまり新築区分マンションに投資して成功するには、

  1. 景気がこれから上昇する
  2. その地域が値上がりする

事を予想しなければいけないわけです。

これは僕には無理です。

どんな世界でも未来を予想するのは難しいもの。

少なくとも定量的な評価ができないため、見合う投資かどうかを判断する事は難しいでしょう。

 

中古の区分マンション投資でアリなものは存在する

一方の中古の区分マンションは、投資対象としてアリなものは存在します。

売主は個人が多いので、何かしらの理由で手放さなければならなくなったりするケースがあるからです。

相続や、急な出費など。

流動性が低い不動産は、急に売ろうと思っても売れないので、本気で売りたければ安く売るしかありません。

金額も少なくて済みますし、経験を積むという意味でも新築の区分マンションを買うくらいなら、中古の安い区分マンションを買うべきでしょう。

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