勤務医も資産形成を真剣に考える時代になりました。
- 過酷な労働
- 揺れる専門医
- 衰退する日本
安泰だと言われる医者、勤務医という職業を脅かす要素をあげればキリがありません。
こういった環境下で勤務医が資産について真剣に考えるのは、普通の事でしょう。

勤務医の資産形成は少し特殊
前提として、勤務医の資産形成は特殊です。
理由は
- 勤務医としての価値を発揮するには時間がかかる
- 勤務医としての価値は必ずしも給料に反映されない
- 勤務医は若くして高給を得る
の3つ。
1、勤務医としての価値を発揮するには時間がかかる
勤務医としての価値を発揮するには、少なくとも数年、長いと数十年の時間が必要です。
医学部を卒業し、即スーパードクターにはなれません。
初期研修終了直後、どんなオペも執刀できる医師にはなれません。
なぜならば、大学在籍中に実臨床のトレーニングを行わないからです。
一般的なサラリーマンも同様ですが、一部の仕事は当てはまりません。
例えば
- プログラマー
- プロスポーツ選手
などは、20歳で最高価値を発揮する事だってあります。
一方で医師としての価値は、必ずある程度の年齢になって初めてピークを迎える。

2、勤務医としての価値は必ずしも給料に反映されない
勤務医としての価値は、イコールもらえる給料の高さではありません。
勤務医としての価値が高くても、医師供給過剰地域では買い叩かれます。
勤務医の給料は、基本的に需給バランスで決定します。
病院は利益を追求しなければならない法人でありながら、病人やケガ人を治療する公器でもあります。
勤務医が不足して病院が機能しなくなってしまったら、地域医療に与えるインパクトとしては「かなりネガティブ」です。
病院はある程度赤字を出してでも、高額報酬で勤務医を集めるしかありません。
一方で、スーパードクターにしか扱えないような疾患に「対応できる」事は、確かに患者さんのためにはなりますが、病院経営上はそれほど有利にならない場合が多い上、地域医療に与えるインパクトとしては「ややポジティブ」くらいです。
高齢化が進行した日本では、どちらかといえば「勤務医として高い価値を持つ医師」よりも「勤務医の不足している地域で多くの高齢者に対応できる医師」の方が、価値が高いのが現状です。
- 勤務医としての価値が高い医師が、供給過剰地域で働く
- 勤務医としての価値の低い医師が、供給不足地域で働く
後者の方が、給料面では恵まれている事が多いですね。
3、勤務医は若くして高給を得る
一般的なサラリーマンと比べると、勤務医の給料の推移は特殊です。
若い時から給料はある程度高く、勤務医としての価値が高まった後でもそれほど給料は上がりません。

勤務医の資産形成方法
基本的な勤務医の資産形成方法は
- 勤務医としての労働力を高く換金(メソッド1a)
- 別の事業に労働力を投入し換金(メソッド1b)
- 同時に節約、節税(メソッド2)
- 蓄積した資産から、資本収益を得る=投資を行う(メソッド3)
この4つのメソッドを同時に行う事です。グルグルと、何回も繰り返します。
そしてこの4つメソッドを、なるべく効率良く行う事が「勤務医の資産形成」における「努力の介入余地」だと言えます。
順番も大事です。いきなり4に到達できる人は、資産家の子孫だけです。

- 関連記事:勤務医のままお金持ちになる方法
スタイル別、勤務医の資産形成
開業せずに勤務医のまま、資産形成をするには
- 「勤務医1本」で上記のサイクルを回す(スタイル1)
- 「勤務医+別事業」で上記のサイクルを回す(スタイル2)
のどちらかです。
どちらのスタイルを選ぶのかで、戦略が異なります。
スタイル1=勤務医1本
スタイル1を選ぶ場合は
人生トータルで勤務医としての労働力を最高値で売却する
事が、最も重要な戦略になります。最重要項目はメソッド1aです。
しかしながら同時に、給与所得が増えると自然と税率も高まるため、メソッド2の重要性も同時に増加します。
スタイル1の場合、メソッド1aを効率化させる必要がありますが、正直なところ吟味が非常に難しいです。
どういうキャリアを歩めば、勤務医としての労働価値を最大化させる事ができるのか、僕には判断できません。
若い頃は都市部(医師供給過剰地域)で安月給で働いて、医師として大成してスーパードクターになったとして、日本でその労働力を高値で売る事ができるのか、わかりません。
早期から地方(医師供給不足地域)で高給で働いて、投資サイクルを高効率で稼働させる方が、経済的には成功する可能性もあります。
スタイル1を選ぶならば、やはり
- 勤務医として地球上で活躍できる
というのが、最高到達点ではないでしょうか。
日本という狭い範囲で考えるから、他の選択肢との比較が出てきてややこしいわけです。
勤務医1本、このスタイル1を貫くのなら、最終的にはその労働価値を
最も高く売ることができる場所(地球規模)で換金する
事が、どう考えても最高です。
スタイル2=勤務医+別事業
スタイル2を選ぶ場合、メソッド1aについては単純化できます。
若い頃から医師としての労働力を高く売却
これに尽きます。
勤務医の給与体系の特殊性を考えると、そうするためには
- 若い頃から医師供給不足地域で働く
- 勤務医としての労働に投入するリソースを制限する
事が最も効率的です。
最重要項目は
- 別事業に労働力を投入、より稼げる事業へと育てる
事であって、メソッド1bが最重要です。
- 関連記事:とある医師が法人設立をした理由
目標を定めて、自分に合う「勤務医の資産形成スタイル」を選択する
上記のスタイル1・2の例は、成功すると大きな資産を築く事ができるでしょう。
数十億に到達するかもしれません。
しかし普通の方法ではないですよね。
普通の勤務医が普通に資産形成をする場合、おそらくスタイル1に当てはまります。
勤務医としての労働力を、最高値ではないにしてもソコソコの値段で換金し、蓄財した資産で資本収益を得る。
この方法だと、道を外さずに続けていれば数億の資産形成には成功するでしょう。
目標とする金額に応じて、自分のスタイルを選びましょう。
目標とする金額に加えて
- 子供がいる人いない
- 人生の段階
- 自分のリスク許容度
- 精神的タフさ
なども勤務医の資産形成スタイルに、大きく影響を与える要素だと思います。
