不動産の世界にいると、どうしても切り離す事のできない「相続」という2文字。
僕はまだ20代なので、相続とは程遠い存在ではあります。
しかしながら、不動産の世界に触れてみて少しずつ相続という概念がわかってきました。
医師にとっての相続税
当然の事ながら、相続税はある程度の資産が無ければ発生し得ません。
国税庁のページを見るに、具体的には4000万円くらい資産があると、相続税が発生すると想定されます。
これくらいの資産は、医師であれば達成してしまうのも事実。
医師にとって相続税とは、いつか高い確率で自分に降りかかってくる事柄でもあると言えるでしょう。
医師の相続税対策は何があるか
医師の相続税対策としては、一般的に3つあります。
- 保険
- 法人
- 不動産
の3つです。
1、相続税対策の道具としての保険
保険の仕組みは簡単です。
自分が保険料を支払って、受取人を子供や配偶者などにしておく事で、実質的には相続が行われます。
この保険金も、額によっては税金がかかります。それでも馬鹿正直に相続するよりは税率が下がったり、得するケースもあります。
商品によってはこの法律の網をかいくぐって、まるで相続税対策のための保険のような商品も存在します。
ただし、これを行うのであれば年間110万円の生前贈与をコツコツしておく方が得かもしれません。もちろんケースバイケースですが。
保険はあくまでサブとして使うべきでしょう。
法人と組み合わせる方法もあります。
2019年現在、法人の経費で医療保険に加入、満期後に個人で保証を継続するというスキームがあると耳にしました。
満期前に保険金支払いが生じた場合は法人に支払われますが、満期後も個人で保証が続くため、満期後に保険金支払いが生じた場合は個人に保険金が支払われる、という法人を使った一種の節税です。
仮にこれが生命保険で同様の事ができるとすれば、法人の経費で後世に資産が残せるという素晴らしいスキームです。
2、相続税対策の道具としての法人
法人による相続税対策は広く行われています。
スキームとしては、基本的に資産を法人所有に変えてしまって、法人の所有権=株式を相続人に譲渡するというスキームです。
極端な例ですが、10億円の資産を法人に所有させて、法人の価値が1億円だとしたならば、譲渡する株式は100%で1億円の価値を持ち、実質的には1億円の相続が行われた事になるにもかかわらず、手元にやってきた法人の資産は10億円あるわけです。
ちょっと例えが極端で色々省いていますが、ザックリ言えばこんな感じです。
とはいえ
10億円の資産を保有する法人が、1億円の価値しかないなんてそんな事あるのか?
と思ってしまいますよね。
資産価値の算定って、結構難しいんですよ。
例えばウェブサイト。
去年1年で1000万円の広告費を稼いで、直近1ヶ月では200万の広告費を稼いでいるウェブサイトが法人で持っていたとします。
この「ウェブサイト」の価値って、一体いくらなんでしょうか?難しいですよね。
他にも
- レビューで高評価を得ているAmazonの販売アカウント
- 10万人のチャンネル登録者がいるYouTubeアカウント
- フォロワーが5万人いるInstagramのアカウント
って、資産としては一体「何円」の価値があるのでしょうか?
国は、一体いくらだと算定するのでしょうか。おそらく今現在、これらのアカウントに対して課税することは無いでしょう(調べていませんが)。
このように、時代の変化とともに「お金を稼ぐ資産」は変化していて、法律はその後に必ず遅れてやってくるので、穴を突こうと思えば突けてしまいます。
この辺りのスキームを一掃するために「みなし贈与」という概念が使われますので、一概にうまくいくとは言えませんが、一考の価値ありです。
3、相続税対策の道具としての不動産
不動産は価格が高いので、相続税対策としてよく使われます。
スキームは単純で、資産としての価値と、市場価格の乖離を利用します。
不動産を活用した医師の相続税対策
例えば高級マンションの最上階。
固定資産税評価額は一般的に同じ広さであれば、1階だろうが最上階だろうが同じです。
しかしながら、その景観から最上階の市場価値は高い。
最上階(固定資産税評価=3000万円、市場価格=1億円)
1階(固定資産税評価=3000万円、市場価格=3000万円)
みたいな事が起こります。
そうすると、どちらのマンションも相続としての評価は同じ3000万円ですが、実際に売ると全然違います。
この最上階を使って、実際は1億円相当の価値がある不動産を相続しているにも関わらず、3000万円分しか相続税がかからないというスキームです。
医師などの資産をたくさんもっている富裕層にとって、マンション最上階を使った相続税対策は非常に有効でした。
それが国に目をつけられ不可能となると、今度は「軍用地」が相続税対策として人気になってきました。
都内の最上階マンションを使った相続税対策ができなくなって、軍用地に流れている模様。
市場価格と固定資産税評価額が大きく乖離している歪んだ市場は、相続対策バブルチャンスの温床。
— ラス@お金の外来 (@3n4rs) July 23, 2019
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