日本の不動産というと、衰退産業というイメージがあります。
実際、日本の人口は既にピークアウトして減少の一途を辿り、出生数も100万人を切り、政府が予想しているよりも生まれる子供の数は減っています。
人口が減る日本において「日本の不動産」を購入する事が、いかにリスキーな事かは、素人でもわかると思います。
不動産=衰退産業?
日本の不動産が衰退産業であるか、という問いに対してはイエスです。
人口が減るからです。
しかしながら、政府の予測資料を見ると人口増加予測の地域もいくつかあります。
主に
- 首都圏
- 首都圏の近く(神奈川の川崎、埼玉のさいたま市など)
- 福岡市
は、2040年時点では人口増加が見込まれる地域です。
同じ東京と言えども、八王子などは20%減少予測です。
またオシャレな街のイメージがある神戸も、20%減少予測です。
日本の不動産は、基本的に衰退産業であるのは間違いありませんが、一部地域ではむしろまだ成長産業だと言えるでしょう。

衰退産業である不動産、特定層へのニーズは確かにある
日本の地方での不動産は、間違いなく衰退産業です。
しかしながら、まだ掘り起こされていない特定層への確かなニーズというのを、感じる時があります。
それは
- 独居の高齢者
です。
独居の高齢者は、概ね「孤独死」のリスクが高い、つまり大家からすれば自分の物件が「事故物件」になってしまう可能性が高いため、敬遠されます。

しかしながら、地方において「独居の高齢者」は需給で言えば(僕のエリアでは)需要の方が高く、掘り起こされていないニーズの代表格です。
パターンとしては
- 山奥の実家に住む両親
- 片方が亡くなり、1人暮らしは心配
- 息子夫婦が街中に持ち家を建てて暮らしている
- 施設に入れるほど、生活レベルは落ちていない
- 一緒に暮らすことは、なんとなく抵抗感が強い
- 近くにアパートを借りて目の届く範囲で生活してほしい
- 不動産屋に行くも「独居の高齢者」はダメだと言われた
- 施設には入れないので、山奥で1人暮らしを続けている
という感じです。
衰退産業である不動産業界に参入した理由
医師である僕が、衰退産業である不動産業界に参入した理由は、これをチャンスと捉えたからです。
どういう事か。
大家としては「孤独死」がリスクなのであって、孤独死のリスクコントロールができれば、「独居の高齢者」を入居させる事はそれほど怖くありません。
年金があって、近くに子供が住んでいるなら、滞納の問題も起こりにくいでしょう。
では、この「孤独死」リスクをどうやってコントロールするか。
それは
- 訪問介護
- 訪問看護
- 訪問診療
で定期的に入居者の健康状態をチェックさせる事です。
僕は医師なので、これらの事業を自前でやってしまえば良いわけです。
つまり
独居の高齢者だけど、アパートを借りたい
という声には
弊社の訪問介護、訪問看護サービスを使ってくれれば入居OKです!
と答えます。
- 自社の訪問サービスの利益UP
- もちろん賃料ももらえる
というメリットがあります。
新規顧客の呼び水になりますし、もちろん利益も出ます。
また、既にサービスを使ってくれている人が
お宅は大家さんもやってるんだって?できれば息子の家の近くにアパートを借りたいのだけど
と言ってくれた場合には
弊社のサービスを使い続けてくれた場合は、入居できますが、継続が条件です
と答えます。
既存のサービスを使っている人の中から、新たな顧客を見つける事もできます。
- 家を借りたければウチを使ってね
- ウチを使っているなら借りる事ができるけどどう
という2方向の集客ができますし、おそらく退去リスクもありません。
経営戦略的にも、ドミナント戦略(特定地域に集中的に店舗展開する戦略)で、参入障壁が非常に高いと思われます。
そもそも、不動産そのものが参入障壁です。
衰退産業である不動産業も、掘り起こされていないニーズに応え、他業種とのシナジーによって成長産業へと変える事ができる。
僕はこのビジョンを持って、不動産賃貸業を始めました。
もちろん、不動産賃貸業単独でも利益を上げる事ができています。
仮に10年、15年で賃貸業単独での経営が難しくなってきた場合、こういう方法で「他業種とのシナジー経営」ができるのも、不動産の面白いところでもあるのかな、と思っています。