耐用年数を超えた融資をしない方が良い理由

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不動産投資の世界に足を踏み入れると、1回は考えてしまうのが「耐用年数を超えた融資」です。

築古物件は表面利回りが高いので、ついつい初心者の頃は築古物件が目に止まってしまいます。

利回りの高い物件を、長期で融資を引けば、確かにキャッシュフローは出ます
しかしながら、代わりに大事なものも失ってしまいます
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耐用年数を超えた融資とは

そもそも不動産の耐用年数とは

木造:22年
軽量鉄骨(3mm以下):19年
軽量鉄骨(3〜4mm):27年
重量鉄骨(4mm〜):34年
鉄筋コンクリート:47年

と日本では定められています。

この年数を持って、建物の価値はゼロになるという事です。

ただこれらの耐用年数を超えたらからといって、建物がすぐに使えなくなるかと言われればそうではないわけです。

基本的に銀行融資を使って不動産を購入する際、この耐用年数以内に融資期間を限定するのが一般的です。

例えば、木造築5年なら耐用年数の残存期間は17年ですから、17年ローンを組めます。

鉄筋コンクリート築17年なら、30年で組めるでしょう。

これに対して、例えば築20年の木造アパートなら、残存期間は2年ですが、20年のローンを組む、というのが「耐用年数を超えた融資」です。

 

耐用年数を超えた融資のメリット

耐用年数を超えた融資のメリットはたった1つ、キャッシュフローが出る事です。

物件価格2000万
築20年の木造アパート
年間家賃300万円
表面利回り15%

という物件があったとします。

通常、残存期間2年の融資期間だとすると、毎年1000万円以上の返済をしなければならず、300万円の家賃では間に合いません。

一方で、無理に20年の耐用年数を超えた融資を行うと

年間家賃+300万円
年間返済−110万円
差し引き+190万円

注)金利1%想定、元利均等返済

となります。

融資期間を長くすれば、キャッシュフローが出ます

 

耐用年数を超えた融資のデメリット

耐用年数を超えた融資のデメリットは、2つあります。

  1. 減価償却が効かない
  2. 債務超過の可能性大

の2つです。

1つめ、減価償却が効かないので、毎年支払う税金が高くなります。

しかしながらこれは、結局減価償却分は簿価として記録されるので、売却時の課税として乗っかってきますから、税金の繰り延べ行為でしかありません。

耐用年数を超えた融資のデメリットとして大きく取り上げられる事が多い要素なのですが、実はトータルでは損も得もしないはずです。

問題は2つめ、債務超過です

木造築20年、2000万円のアパートのシミュレーションで、実勢価格と固定資産税評価額から計算した大まかな価格は、以下の通りだったとしましょう。

土地:1000万円
建物:200万円

ここで銀行からすれば、2年後に建物の価値はゼロになりますから、担保価値は1000万円の土地だけです。

これに対して2000万円の融資をしているわけで、差し引き1000万円の債務超過状態です。

それでも属性の良いエリートサラリーマンやお医者さんなどが、この物件を耐用年数を超えた融資で購入できるのは、個人の属性でこの「債務超過分の1000万円」を補っているからに他なりません

例えばこれと同じ物件を3つ持っていれば、3000万円の債務超過です。

5つなら5000万円。

債務超過分の金額が増えれば増えるほど、銀行からすれば「個人の属性を削り取って融資枠を確保している」わけですので、追加の融資が難しくなります。

耐用年数を超えた融資は、個人の属性を削り取り、追加融資を困難にしてしまいます

銀行からの与信を失うわけですね

 

耐用年数を超えた融資は泥沼の始まり

耐用年数を超えた融資は追加融資を困難にしますが、問題はそれだけではありません

売却も難しくなります。

なぜならば、耐用年数を超えた融資は「個人の属性を削り取り」成立しているので、仮に売却するとなると次の売却相手には「削り取るだけの残存属性」が必要になります。

例えば、まだローンを組んでいない、エリートサラリーマンやお医者さんです。

売却先がかなり限定されてしまうため、投資物件としての売却先を見つけるのが難しくなるわけです。

更地にして土地として売却するのも難しいでしょう。

先ほどの例で、2000万のローンを組んで購入しましたが、土地としての価値は1000万円しかありませんから、土地として売却しても残債を返済しきれません。

投資用物件として売却できない、土地として売却もできない、追加で物件も購入できない

まさに八方塞がりです。

仮に築年数が経って、大規模な修繕をしても、なかなか家賃が下げ止まらず、入居率も維持できない、となると、あとはもう出血し続けるしかありません。

まさにエリートサラリーマンやお医者さんの「高い給料」から、補填するしかないのです。

銀行の目論見通りですね。

耐用年数を超えた融資は、泥沼の始まりである可能性が高いと言えます。

唯一、耐用年数を超えた融資が検討範囲内になるのが

物件価格<土地値

である場合です。

土地の値段以下で売っていれば、最悪更地にして土地として売却すれば、ローンはチャラになります。

債務超過を解消する手段が残っているので、まだ出口が残っています。

築古投資家が土地値にこだわるのは、こういう理由です

いずれにせよ、初心者が手を出す領域ではない事だけは確かです。

僕も2棟購入し、完全な初心者は脱出できたと思っていますが、それでも基本的には耐用年数内融資にこだわっています。

銀行から嫌われるのは、経営者としては最も避けたい状況ですので…。

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