医者をやってると、頭が痛いのが「税金」です。
当直、残業、休日回診、身を粉にして働いても結局手元に残るのは60〜70%という先生は多いのではないでしょうか。
はっきり言って、やる気が削がれてしまいますよね。
なるべく支払う税金を減らしたい、と思うのは普通のこと。
では具体的に、普通の医者が普通にできる税金対策、節税方法にはどんなものがあるのでしょうか。
普通の医者ができる税金対策、節税方法
普通のお医者さんが、普通にお医者さんをやりながらできる税金対策、節税方法は大きく分けて3つあります。
- ふるさと納税
- 生命保険料控除
- 法人と個人の所得分散化
の3つです。
1、ふるさと納税はお医者さんができる最も簡単な節税
ふるさと納税とは、本来自分が住んでいる地域に支払う住民税を、自分の好きな自治体に納税できる制度です。
代わりにお礼として、地域の特産品などをもらう事ができます。
一見すると、支払う税金の額は減っていないので、税金対策というよりや節約に近い効果があります。
僕の場合、毎月
- お米5kg
- 肉1.5kg
- フルーツ詰め合わせ
- 野菜詰め合わせ
が送られてきます。毎月です。
実質的には食費が2万円くらい浮くんで、結構デカいです。
同時に「食材を買いに行く」という時間と手間も削減できて、もはや一石三鳥。
アマゾンのクレジットカードで全てを決済すれば1%が自動でポイントに加算されるため、年間数万円にはなります。
ふるさと納税をやれば医師の給料なら実質15〜30万円の品が無料で手に入ります。
ノーリスクノーコストでできるマネーハックだけでも、年間数十万のプラスを生みます。
— ラス (@3n4rs) 2018年6月21日
ふるさと納税の何が良いかって、誰にでもできて簡単、間違いなく経済効果を得られる点です。
さとふるなどのサイトからアカウントを作って、普通に買い物するようにポチるだけ。
あとは、自宅に送られてくる納税証明書だけ、捨てずに保管しておけばそれでオッケー。
こんなに簡便で確実性の高い節約を、やらない理由がありません。
ふるさと納税の事を
実質的に支払う税金が変わらないし意味がない
と思っている人は、まずここから始めるべきです。
2、生命保険料控除で賢く税金対策、節税しよう
次に、生命保険料控除を用いて税金対策、節税する方法があります。
一般的に生命保険は掛け捨てタイプが多く、拠出額以上の税効果は得られません。
掛け捨てではない終身タイプても「拠出額」から「受取金」の差額、つまり実質的に支払う金額が、得られる税効果より少ない事がほとんどです。
例を出します。
毎月1万円の生命保険、満期受取金は3分の1だとします。
1年拠出する額は12万円で、4万円は将来受け取る事ができます。差額の8万円が「実質的に支払う金額」です。
これにより得られる税効果は、計算するとせいぜい1万円ちょっと。
実質8万円払って、1万円ちょっと節税したって意味がありません。
つまり税効果を狙って、生命保険に加入するという策は愚の骨頂、でした。
しかし最近、明治安田生命の「じぶんの積立」という商品が出て話が変わります。
これは生命保険にも関わらず、「拠出した額」の100%以上が必ず返ってくるという、貯蓄性のかなり高い商品です。
というかむしろ貯金。
拠出額の100%以上が戻ってくるので、実質的に支払う金額はゼロ円です。
生命保険料控除だけ受ける事ができるので、毎年1万円ちょっとは寝てても節税できます。
- 関連記事:【保存版】医師向けの生命保険、オススメは
3、法人設立をして所得分散、税金対策をしよう
ふるさと納税と生命保険、とりあえずこの2つをまずやりましょう。
次に、可能であるならば「会社を作る」というのは1つの手です。
例えば医者が不動産を取得するのであれば、高確率で会社保有にした方が得です。
医者は給与所得が高く、場合によっては法人税率を超えます。
であるならば法人税を支払って、医者としての個人所得の課税を避けた方が節税になります。
また会社保有で車も買ったりできますし、法人を持つ事による税金対策効果は結構あります。
しかし、これは「普通の医者が普通に医者をやりながら」できる事ではないかもしれません。
医者をやりながら会社の「事業」となる部分を作り上げるのには、それなりの信念、意欲、勉強、努力が必要です。
- 関連記事:とある医師が法人設立をした理由
iDeCo(イデコ)は税金対策になる?
最近流行りの個人型確定拠出年金、略してiDeCo(イデコ)ですが、税金対策になると人気です。
毎月決められた額を拠出し、その額で様々な金融商品を購入する事ができ、年金代わりになるという代物。
具体的には
- 拠出金額が全額、所得控除になる
- 運用期間中の利益が、非課税(期限なし)
- 受け取り時に退職金控除 or 公的年金控除が受けられる
という大きなメリットがあります。
このiDeCo、僕も明らかに得だなと思っていたのですが、現段階ではそうとも言い切れません。
iDeCoのデメリットとしては
- 元本割れリスク
- 60歳まで触れない
- 特別法人税(積立金の1.173%/年)の復活リスク
の3つがあります。
元本割れ、これはほとんど無視できます。
長期でまんべんなく世界中の株式に投じれば、60歳になる頃にはプラスなはず。
60歳まで資金を触れない。これもまあ少しもどかしいですが、良しとします。
僕個人としては、不動産投資をしている身なので手元のキャッシュは多いに越した事は無いので、大きなデメリットではあります。
問題は特別法人税です。
これは現在年金関係に対して凍結されている制度で、積立金の1.173%を毎年国が徴収するという制度。
何より恐ろしいのが、積立金全体の1.173%をかっさらっていくという点です。
毎年拠出した額ならまだしも、過去に拠出して積み上がった金額に、運用益が出ていれば運用益も合算した「積立金の総合計」に毎年課される税金なのです。
今は凍結されていますが、おそらくこれが再開されればiDeCoによってトータルで損を出す人がたくさんいると思います。
商品を利率の低い「定期預金」などにしていた場合、間違いなくマイナスでしょう。
できる事としては
- 世界株や不動産などのリスク資産に長期で投資
- 手数料の安いインデックスファンドを選ぶ
くらいです。特別法人税が再開しても、トータルでマイナスにならない運用益を上げるしかありません。
後は、特別法人税が復活しないよう神に祈るのみ(笑)
以上から、iDeCo(イデコ)で税金対策できるのか、つまり「税効果も含めてプラスのリターンのリターンになるのか?」という問いに対しては
現段階ではグレー、そうとも言い切れない
としか言えません。

無理に医者が節税、税金対策するよりは…
- ふるさと納税
- 生命保険料控除
- 法人と個人の所得分散化
基本的に普通の医者、普通に勤務医をやりながらできる節税、税金対策はこの3つです。
法人化してそちらからの事業収入があると、それに対する節税方法や税金対策は書ききれないくらいあるので割愛します。
さて、医者の節税や税金対策ですが、結構面倒なのが多いです。
個人的には、同じ「手元のキャッシュを増やす」という目的を達成する手段として、節税よりも節約の方が手っ取り早いしラクだと思います。
お医者さんにオススメしたい節約方法は
- 自宅は買わずになるべく賃貸で
- 高級車などの贅沢品は買わない
- 現金を持つな、クレジットカードを持て
- 保険は整理しよう
の4つです。
1、自宅は買わずになるべく賃貸で
自宅を購入されるお医者さんが多くいますが、経済的にはオススメしません。
理由は明確で、病院からの家賃補助が得られないからです。
また個人事業主、法人を持っていると、家賃の一部を経費にできます。
経済的には、間違いなく賃貸の方が有利です。
もちろん家族やライフステージに合わせて、必要に迫られれば購入は検討しても良いと思います。
もし自宅を購入するならば、労働以外の収入源を作ってからの方が良いでしょう。
2、高級車などの贅沢品は買わない
流石に億ションを買ってしまう医者、特に勤務医は少数派だと思います。
しかしながら、ベンツなどの高級車を買っている人はたまに見かけます。
あれも経済的には敵ですね。
高級車を持つ事で支払う毎月のコスト、どれくらいかご存知でしょうか。
興味のある方は下記記事を参考にどうぞ。
3、現金を持つな、クレジットカードを持て
これは僕が日常的に実践しているのですが、なるべく決済はクレジットカードにしています。
理由は、ポイントが溜まって実質的に節約になるからです。
Amazonか楽天、ネットEC系カードが僕としてはオススメです。
4、保険は整理しよう
生命保険の記事にも書きましたが、基本的に保険というのは入れば入るほど損をします。
本当に必要なライフステージで、本当に必要な時、必要最低限の保険に入るようにしましょう。
そして既存の保険から、なるべく費用対効果の高い物へと切り替えるのも重要です。
保険の整理は固定費の削減につながります。
1回パパッとやってしまえば、あとは寝てても節約できます。
固定費の削減は、節約に努力がいらないので僕は好きです。
まとめ
現段階で医者ができる効果的な節税は
- ふるさと納税
- 生命保険料控除
- 法人所有
の3つ。
お医者さんにオススメしたい節約方法は
- 自宅は買わずになるべく賃貸で
- 高級車などの贅沢品は買わない
- 現金を持つな、クレジットカードを持て
- 保険は整理しよう
の4つ。
節税するより節約の方が手っ取り早く手元にお金が貯まる。