今の日本では、増税が続いています。
2014年に消費税が8%へ引き上げられ、今後も引き上げられる予定です。
高齢化に伴って増える社会保障費を補填しなければなりませんから、仕方ありません。
日本の消費税は他の先進国と比べるとまだ低い水準ですし、日本へ旅行に来る外国人が増えた事からも、消費税を上げる事で彼らから税金を取るという手法は、国単位の利得を考えると合理的な判断でしょう。
また2012年には年少扶養控除も無くなり、代わりに子供手当が開始されました。
これも控除による減税効果が大きい、つまり税率が高い(=給与所得が高い)層には増税です。
このように「高所得×給与所得者」に対する増税は、止まる事を知りません。
まさに勤務医も、ここに入っています。
勤務医のような「高所得×給与所得者」への増税は止まらない
平成30年度(2018年)には配偶者控除が改正されました。
今までは配偶者の所得が年間103万円以下であれば、年間38万円の配偶者控除を受ける事ができました。
しかし改正によって、年収1120万円以上(合計所得900万以上)の場合は、配偶者の所得に無関係で配偶者控除がもらえなくなってしまいました。
つまり「年収1120万円以上を稼ぐ夫」と「年収103万円以下の妻」という、勤務医に最もありがちな家計は増税です。
所得税率が33%、住民税率が10%だとすれば
38万×(33+10)/100
=16万3400円
が、実質的な年間負担増額です。月あたり13600円。
年収1800万円以上の勤務医の場合、所得税率が40%ですので
38万×(40+10)/100
=19万円
が、実質的な年間負担増額です。月あたり15800円。
ちなみにこの制度はもう少し複雑で、所得が低い層に対しては一部減税となります。
こういった高所得者層への静かなる増税は、今後も進行するでしょう。
なぜ「高所得×給与所得者」への増税は止まらないのか
高所得者で、かつ給与所得者への増税が止まらないのは、一体なぜなのでしょうか。
国は法人税を下げたい
まず法人、つまり会社の税率を上げるわけにはいかない理由は簡単。
様々な会社が、日本で会社を作らなくなってしまうからです。
日本の法人税は各国と比べると高く、経営者からすれば香港やシンガポールが魅力的に見えます。
国としては自国で法人を作ってもらって、法人税を払ってもらって、現地の人を雇用して経済を回して欲しいわけです。
結果的に、世界中で「法人税の下げ合戦」による「会社の奪い合い」が行われています。
経済の拡大ととも「国」という器に比べて「会社」という器が大きくなり過ぎた、というのも1つの要因かもしれません。
法人の代わりに個人を増税するしか無い
では代わりにどこから税金を取るか、法人がダメなら個人しかありません。
つまり給与所得者です。
じゃあどんな給与所得者から取るべきでしょうか?
僕が国の偉い人なら「生活に必ずしも必要ではない余剰所得を持っている」人をターゲットにします。
なぜか。理由は2つあります。
まず1つは、所得が低い人に増税すると生活が困窮するからです。
そして一部の生活が破綻した人達がホームレスになったりして、国の治安が危ぶまれるかもしれません。
2つめの理由は、数が多いからです。
低所得者層の方が高所得者層よりもマジョリティ、当たり前ですね。
この層を増税すれば、より多くの人が「増税しているな」と感じ、財布の紐が閉まり、経済が停滞しやすいでしょう。
低所得者層のマジョリティをチョビッと増税しても、少ししか税収は増えませんが、反感はものすごいはず。
増税のコスパが悪い。
またマジョリティが暴動やストライキを起こすと、国が危ぶまれます。
いつの時代も、暴動が起きて国が倒れる時は、マジョリティである国民の怒りを買った時です。
歴史を学べば、いつの世もそう。
国としては「生活に不必要な余剰所得を持っていそうな層」へ増税をする事で、マクロ経済を停滞させる事なく、治安を崩す事なく、歳入を増やしたいのだと思います。
これが「給与所得者」でかつ「高所得者」への増税が、止まらない理由です。
勤務医のような「高所得×給与所得者」は増税に抗えない?
この話の巧妙なところは、基本的に「国が優遇したいのは法人」というコンセプトにあります。
つまり大きな流れとして、税制上優遇されたければ法人を持つしかありません。
おそらくこの流れはしばらく続くでしょう。
止める力が働きようが無いですから。
具体的にどうすれば良いのか?
厳密に言えば、法人経由でのキャッシュフローを増やす必要があります。
また法人を持つとわかりますが、税制上はできる事が多いです。
例えば昔高値で買った不動産を売却して損出しするとか、数字を見ながらタイミング良く取引する事で、税制上有利になるよう自分で調整できます。
もちろん、税制上必ずしも得とは言えない部分もありますよ。
しかしながら、給与所得者は税金に対して「ほぼ何もできない」のに対し、法人側は「自由度が高い」と言えるでしょう。
つまり「給与所得者」は
- 税制上で自由度が低い
- 大きな流れとしては優遇されない
という事です。
さらに勤務医のような「高所得×給与所得者」は
- 増税のターゲットにされやすい
とも言えます。
まるで働くなと言われているようです(笑)
とはいえ患者さんが待っているわけで、働かないわけにもいきませんよね…。
じゃあ全くもって抗う手段が無いのか、と言われるとそうでもありません。
武器は少ないのですが、一応あります。
しかし大きな流れとして
- 税制上優遇されたければ法人を持つしかない
という流れは、今後も止められないでしょう。